有事でも国民生活向けのサービス継続を担保
政府は11月16日に開催した「経済安全保障法制に関する有識者会議」で、経済安全保障推進法に基づき、民間企業による安定供給を後押しする「特定重要物資」の対象として11分野を指定候補にすることを提案、了承を得た。
対象は船舶用エンジンやソナー、プロペラといった「船舶の部品」、大型鋳造品や炭素繊維、CMC(セラミックス基複合材料)などの「航空機の部品」、「半導体」、「蓄電池」、「重要鉱物」、「天然ガス」、「肥料」、「抗菌性物質製剤」、「永久磁石」、「工作機械・産業用ロボット」、「クラウドプログラム」。
政府は12月下旬をめどに指定内容を盛り込んだ政令を閣議決定したい考え。それぞれの分野で安定供給を確実にするための具体的な目標などを所管府省が策定する。
新型コロナウイルスの感染拡大で原料の調達が困難になるなど、サプライチェーンの混乱が続いていることを踏まえ、有事になっても国民生活を送り続けられるよう、重要な物資を確保する狙いがある。
特定重要物資は、企業が対象の物資に関し、災害や感染症拡大などの事態が起きても供給が途切れないようにするための施策を盛り込んだ計画を策定。所管官庁が認定すれば、対象物資の生産や開発、リサイクルに対して補助金や政府系金融機関による低利融資などの財政支援を受けられる。2023年3月に企業からの申請受け付けを開始する予定。
具体的な目標などについては、「船舶の部品」は国内需要の全量に供給可能な生産能力を2027年までに獲得すると明示。「航空機の部品」は2030年までに、「日本が航空機の国際的なサプライチェーンで中心的な役割・貢献を果たす地位を確立・強化する」ことを打ち出した。
(藤原秀行)