ゼネコンや物流大手など79社・団体参加、搬送機器の走行性能に関する実証実験も
国土交通省は5月16日、既存の道路インフラを活用して自動で荷物を輸送する「自動物流道路」を実現するための組織「自動物流道路の実装に向けたコンソーシアム」を立ち上げた。
コンソーシアムには、自動物流道路に関心を持つ鹿島や大成建設、清水建設、大林組、竹中工務店のゼネコン大手5社、ロジスティードやヤマト運輸、センコーグループホールディングス、西濃運輸、三菱倉庫、住友倉庫、日本郵便などの物流企業、ダイフクやIHI、豊田自動織機などのマテハンメーカー、セブンーイレブン・ジャパンやアマゾンジャパンなどの小売企業、三井不動産や三菱地所、野村不動産などの物流施設デベロッパーが名を連ねており、発足当初で79社・団体に上っている。
今後、「ビジネスモデル」と「オペレーション」、「インフラ」の3分科会でそれぞれ自動物流道路の運営の在り方、必要な技術、自動物流道路の形態などを詰める。
また、今年11月から2026年2月にかけ、まず国の実験施設などを用いて搬送機器の走行性能をチェックするための実証実験を行う予定。その後は新東名高速道路の建設中区間を利用し、より実地に近い実証実験に移行することを想定している。
国交省が同日、東京都内で開催したコンソーシアムの初会合で、中野洋昌国交相は「高速道路をトラックが走るだけでなく、物流のためにもっと有効活用できないかとの観点から構想が出たのが自動物流道路。真に社会の役に立ち、使っていただけるインフラにするためには、コンソーシアムに参加いただいている方々、物流のオペレーションや建設にノウハウを持つ方々と一緒に議論していく必要がある。持続可能な物流の姿を描くため、皆様方のお力添えをお願いしたい」とあいさつ。
日本物流団体連合会(物流連)の真貝康一会長(JR貨物会長)は「物流各社の判断を尊重し、それぞれのノウハウ、特性が行かされる形で事業に参画できるようご配慮をお願いしたい。また、物流事業者は安全な輸送など多くの責任を抱えており、事業規制という共通のルールで履行が担保されている。今回の事業も共通の土俵の上で、健全な競争と協調が行われるようにしていただきたい」と要望を語った。
自動物流道路実現のための検討会の羽藤英二委員長(東京大学大学院工学系研究科教授)は「(コンソーシアムの)創造的な議論が、わが国で大きくイノベーションを引き起こす引き金となると信じている。自動物流道路の発展、成功を期待している」とビデオメッセージを寄せた。
(藤原秀行)