JAL、奄美で離島の暮らし支えるドローン物流の社会実装モデルを検証

JAL、奄美で離島の暮らし支えるドローン物流の社会実装モデルを検証

災害対応も、23年度実装・事業化目指す

日本航空(JAL)は11月17日、鹿児島県瀬戸内町で、離島を結ぶ災害時・平常時のドローン活用に関する実証実験を10月に行ったと発表した。

JALグループは「奄美群島サステナブルプロジェクト」(*1)として、地域の伝統・文化・風土を活用した永続的な関係人口拡大の取り組み(ビレッジプロジェクト)と、ドローンを活用した地域課題の解決を目指す取り組み(ドローンプロジェクト)を推進しており、今回の実験もその一環。

ドローンプロジェクトは瀬戸内町とドローンを活用した地域課題解決を目指す連携協定を締結。「災害発生時の孤立集落への救援物資輸送」および「日用品や医療関係品の輸送サービス」について検証を進めている。2023年度の実装・事業化を念頭に置いている。

2022年度は瀬戸内町の「ドローンを活用したスマートタウン推進事業」にも共同参画している。ドローンの運航にスマートフォンアプリなどのICTも組み合わせ、災害時および平時にドローンを活用する離島地域の実装モデル構築を目指し、実証実験を行った。

【実証実験概要】
瀬戸内町と共同で、加計呂麻島および与路島・請島(2次離島)を結ぶ災害時・平時のドローン活用について検証しました。各離島は自然災害時の対応や安定した海上物流に課題を抱えているため、ドローンによる課題解決のシナリオを設定し、各集落の住民や自治体、関係機関・企業に参加してもらって実証実験を行った。

1. 実施期間:2022年10月24日(月)~27日(木)
2. 実施場所:奄美瀬戸内町 古仁屋、瀬相・西阿室(加計呂麻島)、与路(与路島)、池地(請島)
3. 実証実験内容:

①集中オペレーションセンターで活用ケースに応じた複数機種を運航管理
災害時・平時、および空撮・空輸の用途に応じ複数種のドローンを使用し、瀬戸内町古仁屋に設置したオペレーションセンターで集中遠隔管理を実施。災害時はもとより平時運航においても、現地の運航環境状況、変化に即応できる運航管理体制を検証した。

②与路島・請島に至る長距離輸送ルートを安定運航
与路島・請島は、船舶の就航率が気象条件に大きく左右されるため、物流の確保が課題。医薬品や生活必需品などをドローンにより空輸することで既存物流を補うことを想定し、古仁屋~与路島、古仁屋~請島(それぞれ片道約20km)を結ぶ直行ルートで大型ドローンを運航した。実証当日は風速10m/秒を越える気象条件下でも約20kgの物資を輸送することができた。

③ICTを組み合わせたドローン活用
災害時を想定し、ドローンの空撮による被災状況の把握、および救援物資の空輸を担った。瀬戸内町町役場に設置した災害対策本部には自衛隊/消防/警察も参加。撮影用ドローンの飛行位置や高解像な撮影画像を関係者で確認するとともに、専用スマホアプリを通じて集まる住民からの被災情報や救援物資の要請などを一元的に集約してダッシュボートとして表示。ドローンとICTの組み合わせにより、迅速な被災状況の把握、対策協議・判断に活用した。
また、日用品配送への活用でもも、商品の受発注に専用スマホアプリを組み合わせたサービスモデルを検証した。

JALは今後、有人地帯で補助者なし目視外遠隔運航「レベル4」や複数機の同時運航といった、より高度なドローン運航のノウハウを重ね、安全管理・運航管理などの航空運送事業のオペレーション・技術・知見を活用しながら実現を支えていく構え。

(藤原秀行)※写真はJAL提供

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