【現地取材・動画】楽天、公道走行した定常的なロボット配送サービスを茨城・つくばで開始へ

【現地取材・動画】楽天、公道走行した定常的なロボット配送サービスを茨城・つくばで開始へ

西友の食材やスタバのコーヒーなど、夜間や雨天にも実施

楽天グループは11月18日、茨城県つくば市で、自動配送ロボット(UGV)を使い、公道を通って小売店や飲食店の商品を購入した人の自宅などに届ける定常的な配送サービスを11月19日に始めると発表した。

正式スタートに先立ち、11月18日に現地で配送の様子をメディアに公開した。

同社はつくば市のつくばエクスプレスつくば駅周辺地域で今年5月以降、週1回など期間限定でUGVによる配送サービスを展開。利用者から好評を博したため、平日も含めて毎日配送サービスを実施し、新たに夜間や雨天にも対応できるようにした。同社がUGVを使った定常的な配送サービスに踏み切るのは初めて。


配送サービスに使うUGV。コンパクトなサイズも準備し、様々な商品に対応できるようにした

サービスはまず、市内のスーパー「西友つくば竹園店」と「スターバックス コーヒー トナリエキュートつくば店」の2店舗でスタート。注文を受けて近隣にある自宅やオフィス、公園などに商品を配達する。今後は店舗やエリアをより拡大していくことを目指す。

商品や食事の配達は新型コロナウイルスの感染拡大もあって需要が伸びている一方、配送を担うドライバーらの人材は不足している。政府は改正道路交通法に基づき、2023年4月1日から公道を走行するロボットによる自動宅配が可能な新制度をスタートさせる予定。楽天は法改正も踏まえ、他の自治体でもサービスを提供できるようにしていきたい考えだ。

現地で取材に応じた楽天グループのドローン・UGV事業部UGV事業課の牛嶋裕之シニアマネージャーは「つくばでUGVによる宅配サービスの体制を固め、他の自治体でもお使いいただけるよう横展開できる体制を早期に確立したい」と説明。複数のUGVを一度に運行させることができるシステムの実用化などで業務を効率化しコストを抑え、サービスで収益を挙げられるようになると自信を示した。


スタバ前で商品を待つUGV


子供も興味津々


無事コーヒーの受け取り完了

楽天グループの定常的な配送サービスは、専用のスマートフォン向けサイトから購入すれば、注文から30~60分で届ける「オンデマンド配送」か、指定の時間帯の配送のいずれかを選択できる。1日当たり最大11便、2店舗で計22便を夜間や雨天時にも運行する。西友に関しては注文の翌日以降、6日後までの間で指定することもできる。

注文した人は専用サイトでUGVの現在位置や到着予定時刻を確認、指定場所にUGVが接近すれば自動音声の電話やSMSで注文した人に通知する。自宅やオフィスの前などにUGVが到着すると、注文した人が暗証番号を入力してボックスを開錠、商品を取り出す。

UGVは米国のスタートアップCartken(カートケン)が開発し、三菱電機が今回のサービス導入へ調整したもの2機種を使っている。西友向けには積載容量が約114リットル、スタバ向けにはよりコンパクトな約24リットルのタイプをそれぞれ使用。最高速度はいずれも時速6キロメートルだ。

5月からの期間限定で実施した際のユーザーの声も参考にして、期間限定の際は休みの日中が中心だった配達の時間帯を広げるなど、サービス内容を拡充し、サービスエリアも広げている。オフィスや公園などにも届けることを想定している。

配達先のポイントは期間限定で実施時の33カ所から定常配送開始後は63カ所に増やし、利用可能な世帯も約1000から約2500に広がる見通し。


西友前で商品を積み込む


秋真っ盛りの街中を進む


親子でロボットに興味津々


ロボット同士がすれ違い


住宅前に到着したUGVから商品を無事取り出し

料金は西友、スタバともに1回当たり110円。西友は午前11時から午後9時までの11便、スタバは午前9時から午後7時までの11便をそれぞれ設定している。西友は専用の保冷ボックスを使うことで、生鮮食品や冷凍・冷蔵食品なども運ぶことができる。

現在はUGVに取り付けたカメラなどで遠隔監視するとともに、宅配で公道を走る際は必ず保安要員が近くで随行している。楽天グループは23年4月1日に新制度がスタートした後は、なるべく早急に保安要員なしでロボットのみ宅配する体制に移行したい考え。

仕事をしていた駅近くのコワーキングスペースの前でスタバのコーヒーを受け取った30代の女性は「わざわざ買いに行かなくていいので非常に便利。料金が1回110円でも全然気にならない」と感想を語った。西友からキャットフードやビールなどを届けてもらった40代の女性も「パートで働いていて時間に追われている時はとても助かる。指定可能な時間帯も増えたのはありがたい」と喜んでいた。

(藤原秀行)

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