物流ロボットなど先端機器をシェア、スタートアップ企業などの負荷軽減で成長後押し
日立物流は12月10日、埼玉県春日部市の物流拠点内で9月から本格稼働させた「ECプラットフォームセンター」をメディアに公開した。
物流ロボットなどの先端機器や商品保管スペースを共有し、EC事業者は実際に利用した分だけ料金を支払う仕組み。大規模に自動化してコストを減らすことでEC事業に不可欠な物流のアセット活用の負荷を抑え、スタートアップ企業などの成長を後押しすることでEC物流のニーズを着実に捉えたい考えだ。ロジビズ・オンラインでは前後編の2回に分けて主要な機能を紹介する。
「ECプラットフォームセンター」が入る「春日部物流センター」(日立物流のYouTube動画より引用)
作業の約7割で自動化実現
センターは野村不動産が開発し、日立物流グループで活用している4階建て施設「春日部物流センター」の3階に開設。広さは約2000坪で、このうち入庫やピッキングなどの先端機器活用スペースが約1200坪、保管スペースが約800坪となっている。
センター内には、中国系ロボットメーカーのギークプラス製物流ロボット「EVE」シリーズを活用したピッキングシステムや、段ボールを適正なサイズに組み立てる製函機、ちらしや納品書の自動投入機などを導入。入荷から出荷に至るセンター内作業の約7割で自動化を果たしている。
入庫した商品はEVEで移動式の棚に格納している。出荷のオーダーを受けると、作業スタッフはあらかじめ自動的に組み立てられた3種類のサイズの段ボールの中から、システムの指示に従ってオーダーごとに適切なサイズのものを選択、ピッキングエリアに並ぶ自動開閉式シャッターの開いた箇所に収める。
そこへEVEが商品の収まった棚を持ち上げてピッキングエリアまで自動的に搬送。作業スタッフがシステム画面に表示された棚の箇所から該当する商品を取り出し、シャッターが開いた箇所の段ボール箱に入れれば、コンベヤーで出荷エリアに向けて運ばれていく流れだ。作業スタッフは指示に従って動けばいいため、日立物流サイドとしても作業の効率化を図ることが可能。
納品書は自動投入機が段ボール箱に印刷されたコードを読み取り、発注の情報をその都度印刷して機械で投入。自動封函機に続いて、外箱にロゴマークといった必要な文字や図などを印字するオンデマンドインクジェットプリンターも設置している。梱包の最終工程では、主要宅配3社それぞれに対応した送り状を準備しており、機械で貼り付けている。
棚を搬送するEVE
センター内を動くコンベヤー
オーダーに従ってシャッターが開いた場所に適正サイズの段ボール箱を収める
再びシャッターが開いたところの箱に商品を納める
自動封函機
異なるサイズの段ボール箱に適切な送り状を自動で貼り付ける
スループットの能力は1時間当たり梱包が870件、2800行に達しているという。日立物流は顧客のWMS(倉庫管理システム)との連携構築などを進めた上で、最短1カ月で業務を始めることが可能と見込んでいる。
(藤原秀行)