長瀬産業やパナソニックHDなど、重量物の運搬想定したEV自動運転けん引車の実証実験

長瀬産業やパナソニックHDなど、重量物の運搬想定したEV自動運転けん引車の実証実験

空港や港湾での活用目指す

長瀬産業とパナソニックホールディングス(HD)、自動運転シャトルの開発を手掛けるフランスのEasyMileSASは11月24日、長瀬産業が事業開発をしているEasyMileの自律運転けん引車(AIT)「TractEasy」へ、パナソニックHD が開発した遠隔管制システム「X-Area Remote」を採用・搭載した上で、11月19日に三菱ふそうトラック・バスの川崎製作所(川崎市)で車両エンジンの運搬を想定した実証実験を共同で実施したと発表した。

「TractEasy」はEasyMileが設計・開発および製造するEV(電気自動車)自律運転けん引車。センサーやカメラから取得した走行距離などのデータをリアルタイムで処理し、自律的に運搬(最大けん引重量25t)する。

実証実験で使った車両はcm単位の位置特定技術や、障害物の広範囲検知、車両とインフラをつなぐV2X無線通信、予測制御、交差点・横断歩道の判断などのナビゲーションシステムが組み込まれているほか、「X-Area Remote」を搭載している。

「X-Area Remote」は公衆モバイル環境(4G/5G)での低遅延安定通信、サイバーセキュリティ、遠隔オペレータへのAIアシスト機能などを搭載し、多様なモビリティを複数台まとめて統合的に監視・操作・運用管理する遠隔管制ソリューションを提供。経路をふさぐ複雑な障害物など自動走行が困難なシーンを想定し、遠隔管制センターから遠隔監視・操作を行い、ダウンタイムの発生を抑えた円滑なAITの遠隔オペレーションを実現する。

今回使った車両と遠隔管制システムの活用を通じて、工場や物流現場の人員不足や作業負担の軽減、EV化による工場内物流のCO2排出量削減を図る。

実証実験は三菱ふそう川崎製作所で車両エンジンの運搬を想定し、「TractEasy」の安全性や走行能力、遠隔操作・監視システムの操作性や実用性を検証した。今後も、貨物輸送自動運転システムの社会実装を見据え、今回使った車両の実証実験や長瀬産業によるサービス事業化を進め、空港・港湾を中心とした物流業界に展開していく予定。


11月19日に公開した実証実験の様子(各社提供)

(藤原秀行)

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