20年までに資産残高2000億円拡大、目標達成へあらためて自信
ラサール不動産投資顧問のキース藤井社長は2月20日、ロジビズ・オンラインの取材に応じた。同社長は就任した2017年に打ち出した、日本の不動産運用資産残高(AUM)を20年までに20億ドル(約2000億円)増やすとの目標達成にあらためて自信を示すとともに、目標実現の鍵を握る優良な物流施設への投資にも引き続き意欲をのぞかせた。
同社が東京都内で開催した「グローバル不動産投資戦略2019」の記者説明会終了後、ロジビズ・オンラインに語った。キース藤井社長は18年の1年間でAUM拡大が目標の4割程度まで進捗したと説明。「投資のパフォーマンスは好調で投資家の方々にも評価していただけた。非常に良い1年だった」と成果を評価した。
記者説明会であいさつするキース藤井社長
優良な不動産取得の実績の一例として、兵庫県尼崎市で昨年9月に取得した、パナソニックの元工場を先進的物流施設に生まれ変わらせた「HUB AMAGASAKI」(現在はロジポート尼崎に改称)を挙げ、「良好な過去1年間の象徴的なディールだった」と満足感を示した。
「ロジポート尼崎」の全景(ラサール不動産投資顧問提供)
コンパクトサイズの施設にも照準
19年の取り組みとして、旺盛な需要を背景に物流施設などの価格が上昇していることを踏まえ、コンパクトなサイズの物件取得にも照準を合わせていると説明。「リスクが高い物件を高額で無理に取得するようなことはせず、ちょうどいいサイズで投資のリスクが高くないものを探していきたい」と語った。
投資に際しては、安定した収益を得られる「コア物件」をメーンの対象とする基本路線は堅持する姿勢をあらためて示し、アジア太平洋でコア物件への投資全体の約70%を占めている現状から今後は75%程度に拡大していく可能性に言及。
その上で、仮にAUM目標を達成できた後の戦略として「投資家がコア物件を引き続き求めているのか、それともバリューアッド(取得した不動産を改修するなどして資産価値を高める手法)を要望しているのかを見極めていかなければいけない」と指摘。物流施設への投資についても同様に、投資家の要望を踏まえて熟慮していくとのスタンスを見せた。
キース藤井社長は取材に先立ち、説明会であいさつした中で、ラサールのアジア太平洋地域のAUMのうち75%程度が日本となっており、昨年に同地域でラサールが取得した物件の3分の2が日本のものだったことに言及。日本の果たしている役割の大きさをアピールした。
「優れた投資のパフォーマンスを投資家に提供するというわれわれのミッションを継続し、アジア太平洋地域の資産拡大にわれわれが貢献していくことをこの場でお約束する」と明言。日本が引き続き、運用資産を拡充していく上で重要な役割を果たすと強い決意を示した。
(藤原秀行)