物流施設最上階、浴室スペース再利用したブースなど提供
プロロジスは4月2日、東京都墨田区押上の都市型物流施設「プロロジスアーバン東京押上1」内に開設した、スタートアップ支援のインキュベーション施設「inno-base TOKYO-OSHIAGE」(イノベース トウキョウ オシアゲ)をメディアに公開した。
プロロジスは茨城県つくば市で建設したZOZO専用物流施設「プロロジスパークつくば3」内で2023年、第1号となる「inno-base TSUKUBA」(イノベース ツクバ)の運営を始めており、今回が2カ所目。東京都内では初めてとなる。
「inno-base」は人手不足など物流業界が抱える課題の解決を目指すスタートアップが増えていることを踏まえ、事業活動をサポートすることで業務自動化などの促進につなげることを狙っている。成長を遂げたスタートアップにプロロジスの物流施設を利用してもらいたいとの思いもある。今後もプロロジスが開発する物流施設内に設けていきたい考え。
「プロロジスアーバン東京押上1」の外観(プロロジス提供)
「inno-base TSUKUBA」は執務スペースや、物流施設の一角を新技術の実証実験に使えるスペースを備えており、トラックバースを備えたシェア倉庫も有償で提供している。既に首都圏エリアのスタートアップ10社が入居している。
昨年8月にはそのうちの1社で自動フォークリフトの開発を目指しているハクオウロボティクスとプロロジスが資本・業務提携を発表したほか、ハクオウロボティクスが同じく「inno-base TSUKUBA」を利用しているOcta Robotics(オクタロボティクス)と組み、自動フォークリフトとエレベーターを連携させ異なるフロア間を行き来できるシステムの実用化に成功するなど成果も上がっている。
そこで、「inno-base TOKYO-OSHIAGE」はサポート対象のスタートアップを全国に拡大することにした。物流施設がつくば市のものほどは大きくないため、機能を執務スペースのみに絞っており、契約したスタートアップはニーズに応じて、フリーアドレスのシェアオフィスと固定席の専用ブースのいずれかを利用可能。併せて、「inno-base TSUKUBA」が入るつくばの物流施設の実証実験スペースも使えるようにしている。
「プロロジスアーバン東京押上1」は以前、大手企業が配送センターとして使っていた建物をリニューアルし、再利用している。「inno-base TSUKUBA」は最上階にあった物流スタッフ向けの大浴場の雰囲気を残しながら有効活用している。
「inno-base TOKYO-OSHIAGE」のシェアオフィススペース
固定席の専用ブーススペース。随所に大浴場の雰囲気を感じられるデザインとなっている
屋外にリフレッシュできるスペースを設置
入り口には大浴場を思わせるのれんも
「inno-base TOKYO-OSHIAGE」内でメディア各社の取材に応じたプロロジスの山田御酒会長兼CEO(最高経営責任者)は「スタートアップの皆さんにとってはこれくらいのコンパクトなスペースの方が使いやすいとのことだった。皆さんが成長されていけるよう施設を運営していきたい」と強調。
同席したハクオウロボティクスの塩原努COO(最高執行責任者)は「inno-base」について「われわれにとって物流マーケットの入り口に導いてくれた存在だと思っている」と意義を語った。
(藤原秀行)