トヨタや日本交通、三井住友海上グループも参加し実証実験、 死角の車両を運転手へ自動通知
KDDIと出前館、三井住友海上火災保険、MS&ADインターリスク総研は1月30日、公道でスマートフォンの位置情報をを活用し、自動車などを運転している人に車両の存在を通知、出会い頭の事故を回避し安全運転を支援する実証実験を2月1~28日に実施すると発表した。
トヨタ自動車、タクシー・ハイヤー大手の日本交通と連携して展開する。
KDDIはトヨタとともに、GNSS(全球測位衛星システム)で計測したスマホの位置情報を生かし、自転車・原動機付自転車・自動車が同じ交差点に接近した際、それぞれの運転手のスマホへ自動通知する機能を開発。交差点の死角に隠れている自転車・原動機付自転車・自動車の存在を、安全面に配慮した通知で事前に把握できるようにするのが狙いだ。
<本機能のイメージ>
新型コロナウイルス禍によるデリバリーサービスの需要増加に伴い、自転車・原動機付自転車と自動車の交通事故が増加。また、自動車・原付の対自動車の事故形態は「信号の無い交差点における出会い頭事故」が、それぞれ2万4166件、5141件(交通事故総合分析センターの2019年の事故データを基に独自分析)と最も多かった。
主な事故原因として、自転車・原動機付自転車が建物などの死角に隠れてしまい発見が遅れることが考えられており、KDDIとトヨタは現在の自動車のセンサーでは検知できない死角を補うことを目指して機能を開発した。
実証実験は東京都板橋区の公道で行う。出前館、日本交通が同機能を搭載したスマホを通常業務の中で使い、事故削減効果や受容性を検証する。自転車・原動機付自転車の運転手に対しては運転後に、運転中に潜んでいた危険をフィードバックし、従業員への適切な運転指導を支援する予定。
三井住友海上とMS&ADインターリスク総研は、事故の削減・被害軽減効果のデータ提供・検証、およびリスクマネジメント支援などを通じて実証をサポートする。各社は実用化へ引き続き、取り組みを続ける方針。
各社の役割
社名 | 役割 |
KDDI | 自転車・原動機付自転車の存在通知機能、運転結果フィードバックの提供 (スマホ、クラウドの機能配置、アーキテクチャ検討、実装、運転結果分析) |
出前館 | 機能の評価、配達員(自転車・原動機付自転車)の位置情報の提供 |
三井住友海上 | 事故の削減・被害軽減効果のデータ提供・検証 |
MS&ADインターリスク総研 | リスクマネジメント施策・リスクアセスメント支援 |
トヨタ自動車 | 自転車・原動機付自転車の存在通知機能、運転結果フィードバックの提供(ドライバーへの通知方法、フィードバック項目検討) |
日本交通 | 機能の評価、ドライバーの位置情報の提供 |
(藤原秀行)※写真などは各社提供