【現地取材】日本郵便、千葉・市川に開設予定の次世代型郵便局を公開

【現地取材】日本郵便、千葉・市川に開設予定の次世代型郵便局を公開

AGV59台採用、DXのモデル拠点と位置付け

日本郵便は2月1日、DXのモデル拠点と位置付ける次世代型大規模ターミナル(地域区分局)「市川南郵便局」(千葉県市川市)を初めてメディアに公開した。AGV(無人搬送ロボット)などの自動化・省力化機器を積極的に取り入れ、業務を大幅に効率化するのが特徴だ。

三井不動産が開発した物流施設「三井不動産ロジスティクスパーク市川塩浜Ⅱ」のワンフロア4万3000㎡を賃借し、現在の「松戸南郵便局」の業務を引き継ぎ、物流センターが集積する千葉県北西部(郵便番号上2桁が27)の荷物・郵便の仕分け作業(区分業務)を集中処理する。

2月13日に開局し、1日当たり約8万個の荷物と230万通の郵便物を処理する計画だ。

構内にはボックスパレットを構内搬送する豊田自動織機のAGVをはじめ、東芝インフラシステムズの宅配貨物用「パケットソーター」、NECの書籍用「フラットソーター」、フィブイントラロジスティクスの小包区分機、書状区分機などの自動仕分け機を導入した。

AGVは59台を採用、内務作業の約2割を占めるボックスパレットの構内搬送を自動化した。磁気テープのコース上を時速3kmで走行、障害物を察知すると徐行・停止する。構内に総延長23.4km・82コースを設定。1日当たり約6400パレットを搬送する。

AGVと歩行動線は完全に分離して、構内の交差点には横断歩道を表示。郵便局の管理者等125人(1月31日時点)が日本認証「セーフティオフィサ」の資格を取得して安全管理を徹底している。


豊田自動織機のAGV。最大1tまで複数のボックスを連結して搬送できる


NECのフラットソーター。処理能力は1時間当たり3万2千通。区分口数480。従来は最大でも300口程度だった


東芝インフラシステムズのパケットソーター。シュート数84本。処理能力1時間当たり1万1千個


フィブイントラロジスティクスの小包区分機。処理能力1時間当たり1万8千個。シュート数71本

封書とハガキを郵便局員別・配送順に仕分ける書状区分機は11台を導入。従来は同地域13局25台に分散していた作業を市川南局に集約した。


封書とはがきを郵便局員別・配送順に仕分ける書状区分機は11台を導入。従来は同地域13局25台に分散していた作業を市川南局に集約した

パケットソーターと小型区分機は従来、シュート数が限られていたため、二次仕分けが必要だった。千葉局では新型を導入。1シュートが1つの宛先になるようにシュート数を大幅に増やした。シュートの長さも延長した。

対象エリアの郵便局を回る集配ドライバーと郵便局員にはそれぞれ全国で初めて専用アプリを搭載したスマートフォンを配備した。パレットに貼付したQRコードをスマホで読み込み、発着業務を完全ペーパーレス化。GPSで集配トラックの動態管理を実施して、到着時刻を事前に把握する。

全ての作業を可視化してAGVを一元管理する制御管制システムを日立製作所が開発した。リアルタイムで各工程の進捗を把握、専用タブレットでAGVを遠隔操作する。蓄積した実績データを分析してオペレーションを変革する。


開所式のテープカット。中央左が日本郵便の衣川和秀社長

(ロジビズ・オンライン編集部)

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