プロロジスとSTOCKCREWが物流効率化実証の成果公開
プロロジスとEC事業者の商品発送代行を手掛けるSTOCKCREW(ストッククルー)は4月17日、両社が荷主企業との共同コンソーシアムで参画した経済産業省の「持続可能な物流効率化実証事業」に関する成果報告を行うとともに、物流施設「プロロジスパーク八千代2」(千葉県八千代市)内に設けている実証拠点を報道陣に公開した。
実証事業は、荷主を含む複数企業が連携した物流効率化施策に対し、物流施設の自動化機器やシステムの導入などに関する実証費用を補助している。
準備・検証を含めて約7カ月間行った実証では、STOCKCREWが同施設の4階に入居している自社の物流拠点で、ピッキングを支援するAMR(自律走行搬送ロボット)110台をはじめとする6種類の自動化設備を一括導入し、EC物流の構造的なボトルネックの解消を目指した。導入費用約5億7000万円の2分の1が補助対象となった。
自動化設備をフルに活用した結果、2月初旬に実施した10日間の効果測定では、ピッキング工程に投入していた作業者数を1日平均で以前の半分以下の21人まで減らせたほか、同拠点のトラック1台当たりの荷待ち時間は60分から92%減の5分へ大幅に短縮できたという。

プロロジスパーク八千代2(プロロジス提供)

110台のAMRがピッキング作業を担うスタッフの元まで移動してくる
共同コンソーシアムはSTOCKCREWが自動化設備の導入・運用と自社開発のクラウド型WMS(倉庫管理システム)の連携を、プロロジスが設備稼働に必要となる電源増設や垂直搬送機の設置などのインフラ整備をそれぞれ担った。特定荷主は実際の出荷業務を通じた実証協力とフィードバックを提供した。
公開に先立ち、プロロジス開発部の石澤誠文ディレクターとSTOCKCREWの親会社KEYCREWの重光翔太取締役が現地で、同プロジェクト実施に至った事業環境などを説明した。


プロロジス・石澤氏(上)とKEYCREW・重光氏
EC市場の急拡大に伴い、物流業界では多品種・小ロット・高頻度出荷への対応が求められている。中小規模のEC事業者は資金力に乏しく、自動化設備の導入など大規模な投資をすることが難しい。2200社以上のEC事業者の物流代行を手掛けるSTOCKCREWも荷待ち・荷役時間の長期化や作業工数の高止まりに頭を悩ませていたという。
同施設ではこれまで、午後3時までに確定させた注文に対し、午後6時までに出荷業務を完了させる運用をしていたが、一般消費者向けECは受注予測が難しく、最近は作業が午後7時までかかることも少なくなく、「19時特別便」と呼ばれるトラック増便が頻発していた。
この結果、トラック1台当たりの荷待ち・荷役時間は平均120分。ピッキング工程は1日当たり400人時で、毎日50~60人のスタッフを動員していた。全作業時間の約4割を占める検品・梱包の工程も同445人時で、1日当たりスタッフ55人を充てていた。
一方、こうした課題が自動化によって解決されれば、中小EC事業者が標準化された自動化設備を使えることを意味する。重光取締役は「当プロジェクトが経産省に採択されたのも、この『2200社のオペレーションデータと自動化設備の投資モデル』といった要素が評価されたのではないか」と話す。
また、プロロジスもEC事業者との関係構築のきっかけとして今回の実証に期待していた。石澤ディレクターは「これまで接点が少なかった中小EC事業者に、STOCKCREWさんを通じて実質的な荷主になっていただいた。このつながりは今後も増やしていきたい。実証でEC物流のオペレーションを深く理解できれば、今後のサービス展開にもプラスだ」と意義を強調する。
実証で導入されたのは、ピッキング作業をアシストするAMRのほか、宅配便サイズとメール便サイズの各仕分け用ソーター、検品・包装を高速化するシュリンク包装機能と自動封函機能を備えた段ボール封函機、メール便サイズの自動包装機、袋包装機の計6種類で、報道陣にはこのうち5種類を公開した。
ECで取り扱いの多いメール便サイズの商品を、全国80方面別に仕分けるソーター装置は、配送事業者側の輸送を効率化できるほか、人手と比べてミスも減らせる。また「これまで分業だった検品・仕分け・格納が一手に行えることで、作業に必要な人数を半減できた」(現場責任者)という。

メール便を80方面別に仕分けるソーター
ピッキング現場には110台のAMRが導入された。STOCKCREWが取り扱う2200社のうち約7割は個人事業主で、細かな商品の取り扱いも少なくない。これまで作業スタッフが庫内を歩き回ってピッキングをしていたが、導入後はAMRが倉庫内を動き回り、各保管区画に配置されたスタッフがAMRに商品を入れる方式に切り替えたことで移動ロスをなくした。
検品・梱包領域ではメール便サイズの自動包装機と、シュリンク包装機能付き封函機が入った。メール便サイズの包装機は1時間当たり約1000件の処理能力を持つ設備を2機導入した。送り状の発行から梱包まで行われる。

段ボール封函機も採用している(プロロジス提供)
宅配便サイズの商品を仕分けるソーターも作業時間の短縮に大きく貢献した。バーコードの読み取り機を通過させると、運送会社別の仕分けだけでなく、3辺のサイズと重量も測定可能。これまで多い時で10人のスタッフの手で1日6000〜7000件分を行っていた測定作業が自動化された。
2月初旬に実施した10日間の効果測定では、6種類の自動化設備の導入効果を大きく確認することができた。ピッキング工程が1日当たり400人時から63%減の149人時となり、作業者数を1日平均21人まで減らせたほか、検品・梱包工程は445人時から330人時に短縮。19時特別便を廃止し、荷待ち・荷役時間は120分から30〜35分に短縮された。特に荷待ち時間は60分から5分へと92%短くなった。

実証成果の概要(STOCKCREW提供)
ピッキング改善分だけでも年間3億円の人件費が削減される見通しで、経産省の補助制度を含めれば、1年で投資を解消できる見通しという。
KYECREWの中村慶彦CEO(最高経営責任者)は「5億7000万円という投資額も、政府補助を加味して2200社で割ると1社平均約13万円の負担で済む。当社を7~8年ほど利用していただければ年間1万~2万円で、中小EC事業者がこれほど標準化された自動化設備を活用できる。この道筋を示せたというのが大きな価値だと感じている」と語る。
両社は今回の成果を起点として、現在は40~50%にとどまっている検品・梱包設備の稼働率を80%まで引き上げるほか、自動化設備の効果を最大化する計画を進めるという。
プロロジスは同センターで、垂直搬送機の増設・延伸に向けた大規模改修工事を進めている。縦方向の動線を整えることで、自動化設備を5〜6階の3階層で一体的に運用する体制を整える計画だ。軌道に乗れば検品・梱包ベースで1日当たりの処理能力を3万件まで拡張できると試算する。
計画達成に向けた基盤としてKEYCREWの中村CEOは「インフラ整備を担うプロロジスとのパートナーシップに期待する」と意気込む。

中村CEO
実証拠点となったプロロジスパーク八千代2も、免震構造採用によるノンブレース(筋交いなし)設計や特別高圧電力の採用などロボットや自動化設備の導入を前提としており、XYZ Robotics製のバンニング/デバンニングロボットを入居企業に提供するなど物流オペレーションの高度化に前向きだ。
プロロジスの石澤ディレクターは「人手の確保が難しくなる中、ハードな作業は今後、人でなくロボットに担わせていくことになる。パートナー企業とも連携して、施設提供にとどまらない新たな価値を提供したい」と話している。
(佐久間修志)












