NEXCO3社が報告、全国で約500km
東日本、中日本、西日本の高速道路運営会社3社は1月31日、全国に展開している高速道路の橋梁などの更新計画をまとめた。
3社が管理している約1万kmの高速道路のうち、3割に相当する約3000kmが開通から40年以上経っており、現在は約1360kmで更新事業を進めていると説明。定期点検や変状箇所の詳細調査の結果、老朽化が進むなど新たに更新が必要な個所が約500km見つかったと発表した。その対策には約1兆円が新たにかかると見積もっている。
内訳は橋梁の桁の架け替え、充てん剤の再注入に約2500億円、橋梁の床板取り換えに約4500億円、道路舗装路盤部の高耐久化に約2400億円などとなっている。
具体的な個所として、1971年に供用を始めた西湘バイパスの滄浪橋(そうろうばし)、1987年に供用をスタートした長崎自動車道の嘉瀬川(かせがわ)橋、関越自動車道の土樽(つちたる)地区の舗装などを挙げている。
供用開始から40年以上となる箇所は直近の約3割から、10年後(2032年3月)には約6割まで増えると見込んでいる。
長崎自動車道の嘉瀬川橋(佐賀県)で確認されているコンクリートの剥落箇所。鉄筋が見えてしまっている(高速道路3社公表資料より引用)
3社は「今後も継続して実施していく定期点検や最新技術を用いた詳細調査により、今回の更新計画以外の新たな変状や劣化メカニズムが判明することも想定されるため、更新計画の考え方や対象構造物を見直すことも検討していく必要がある」と指摘した。
今後は少子化で更新費用の財源となる高速道路利用の減少と、高速道路の保守点検を担う人員の減少がともに進むことが避けられず、高速道路の維持・更新の難易度が高まっていくのが確実。受益者の物流業界も含め、費用負担と更新の適正なバランスを考えていくことが不可欠だ。
(藤原秀行)