ESR、横浜・幸浦で19.5万㎡の大規模マルチ型物流施設が竣工

ESR、横浜・幸浦で19.5万㎡の大規模マルチ型物流施設が竣工

産業遺産保存、フィットネスジムなども整備


「ESR横浜幸浦ディストリビューションセンター2」外観(以下、いずれもESR提供)

ESRは2月1日、横浜市⾦沢区幸浦で地上4階建て、延床⾯積19万5374㎡(5万9100坪)のマルチテナント型物流施設「ESR横浜幸浦ディストリビューションセンター(DC)2」が1⽉31⽇に竣⼯したと発表した。神奈川県内では同社として6件⽬の竣⼯案件。

「横浜幸浦DC2」は横浜市の最南端にある⾦沢区の東京湾に⾯した約33万㎡(10万坪)の広⼤な⼟地に、4期に分けて計画している物流施設開発プロジェクトの2期⽬に当たり、昨年1月末に完成した1期⽬の「ESR横浜幸浦ディストリビューションセンター1」に続いてエリア2頭目となる。

国道357号線、16号線が⾄近で横浜横須賀道路の並⽊ICから約2.5km、⾸都⾼速道路湾岸線の杉⽥ICから3.0km、横浜港から15km、⽻⽥空港から31km、横浜中⼼部まで13km、東京都⼼まで46km。陸・海・空の輸送インフラへのアクセスに優れている。

横浜環状南線(⼾塚IC~栄JCT~釜利⾕JCT)の開通で圏央道に直結し、東名⾼速道路など主要幹線道路へのアクセスが格段に向上する見込み。

45フィートのコンテナトレーラーも⾛⾏可能な上り下り専⽤ランプウェイを結ぶ中央⾞路・センターバース式を採用、各階へ⼀⽅通⾏でアクセスできるようになっている。

荷物の積み下ろしのためのトラックバースは各階50台分設置。全フロア1mの⾼床式倉庫でバースの奥⾏は14.5mを確保した。ドックレベラーは各階、将来対応分を含めて20基まで設置できる。敷地内には海上コンテナトレーラー対応可能エリアも含め、トラック待機場を計54台備えた。

床荷重は1階2.0t/㎡、2~4階1.5t/㎡をそれぞれ持たせ、全ての階で2.5tのフォークリフトが⾛⾏可能。梁下有効⾼は1~3階5.5m、4階5.5~6.4m、柱スパンは間⼝11m×奥⾏き11.1m、最上階の4階は柱本数が少なくワイドスパンでより使い勝⼿の良い空間を実現している。

荷物⽤エレベーターは各階最⼤10基まで、垂直搬送機は各階最⼤12基まで設置可能で、⾼い縦搬送能⼒も備えている。最⼩賃貸区画は約920坪、半フロア約6500坪 からワンフロア約1万3000坪の中で豊富なプランを提案できる。

特別⾼圧電⼒の供給により、ロボティクス、冷蔵冷凍設備、倉庫内空調、ハイスペックな物流システム導⼊など⼊居企業の多様なニーズに応えられるようにしている。

外観デザインは横浜のシンボル、海のさざ波をイメージし、⽩を基調に⻘を配⾊させ、地域の景観に配慮し地域⽂化と調和するだけ
でなく、横浜幸浦DC1とDC2に連続性を持たせるデザイン構成にした。

東京湾に⾯し、敷地南部に座している⻑年実際に使⽤されていたガントリークレーンを産業遺産と位置付け、地域の記憶を継承する
横浜幸浦DCのシンボルとして保存、改修した。今後、照明デザイナーによるライトアップとプロジェクションマッピングでガントリークレーンを演出することも検討している。

基本理念の「HUMAN CENTRIC DESIGN.(⼈を中⼼に考えたデザイン)」を継承し、従業員⽤の休憩ラウンジ「KLÜBB Lounge(クラブ ラウンジ)」を南側3・4階と北側4階の計3カ所に設置。各ラウンジ内には弁当や飲み物などを販売するショップ「KLÜBB Shop(クラブ ショップ)」も完備させている。

南ラウンジに直結するテラスはガントリークレーンに正対する2層吹き抜けの迫⼒ある屋外空間で、階段をさらに登ると、古くから⾵光明媚な場所として知られる富⼠⼭と⾦沢⼋景の眺望を堪能、バーベキューも可能な屋上のスカイデッキ「KLÜBB Skydeck(クラブ スカイデッキ)」へつながる。

⼦育て世代の⽀援策として延床10万㎡以上の施設に導⼊している託児所「BARNKLÜBB(バーンクラブ)」は、ガントリークレーンと海を臨む1階に設置。園庭には滑り台、クライミングスロープ、砂場などを設け、保育室は⼤⼩様々なアーチ型にくり抜いた壁によってゆるやかに仕切られており、⼦供達が⽣き⽣きと楽しめる空間デザインにしている。


また、ESR として初めてマシンジム型フィットネス「KLÜBB Fitness(クラブ フィットネス)」を導⼊。従業員は無料で使える。⼥性⽤パウダールーム、コインランドリー、ワークブース、ドライバー向け休憩室、喫煙室、シャワー室、トイレも完備している。

南北に 2 か所ある建物エントランス前にはスロープと優先駐⾞スペースを設置し、館内にもバリアフリートイレなどバリアフリー設備を備え、⾞いすユーザーや障害を持つ人にも配慮している。普通⾃動⾞⽤の駐⾞場479台(うち優先駐⾞スペース4台)、駐輪場 200台分を⽤意し、通勤利便性を持たせている。

全館LED 照明、環境配慮型照明システムを導⼊し、外壁には断熱性の⾼い⾦属サンドイッチパネルを採⽤するなど環境や省エネルギーに配慮。CASBEE Aランク、BELS 最⾼位5スター、ZEB(太陽光含め173%削減)も取得済み。

建物屋上には太陽光パネルを設置し、5MW規模の⾃家消費型太陽光発電所を稼働させる計画で、JQA(⽇本品質保証機構)によるグリーン電⼒発電設備認定も受けた後、ESR独⾃のグリーン電⼒証書発⾏システムを通じ、環境付加価値を取引する予定。

敷地境界線に緑地帯を設けるなど緑化計画を積極的に取り⼊れ、季節の移ろいを楽しみリラックスできる環境としてDC1で保存・再⽣した「⾦沢の森」は横浜幸浦DC2の従業員にも開放する。

BCP対策として、⾮常⽤⾃家発電機を備え、停電時でも防災センター機能、事務所の照明・コンセントと倉庫の照明・荷物⽤エレベーターの⼀部、給排⽔ポンプ等が 24 時間以上使⽤可能な保安⽤電源を確保できるようにしている。

湾岸の施設にとって重要な津波対策として、ハザードマップの想定津波⾼を上回る倉庫床レベル(⾼床倉庫)を確保し、浸⽔被害リスクを考慮。受変電設備として東⻄ランプ内に架台を設けキュービクルを設置し、給電停⽌リスクを低減させる。

ラウンジには災害などで停電になった際に⼈的操作で⾃販機内の商品を搬出することができる災害救援⾃販機を導⼊。館内にはAED
を設置し、⼈命救助措置を⾏えるようにしている。

<ESR横浜幸浦ディストリビューションセンター2 施設概要>
■所在地︓神奈川県横浜市⾦沢区幸浦 1 丁⽬ 8-3
■敷地⾯積︓90,282 ㎡(27,310 坪)
■延床⾯積︓195,374 ㎡(59,100 坪)
■⽤途地域︓⼯業地域
■構造︓地上 4 階建・PCaPC 造・免震構造
■⼯事期間︓2021 年 6 ⽉ 1 ⽇〜2023 年 1 ⽉ 31 ⽇
■企画︓ESR(スチュアート・ギブソン、武⽥諭、⼭﨑拓⽣)
■設計︓塩浜⼯業 ⼀級建築⼠事務所
[ラウンジ・託児所・スカイデッキ]タカトタマガミデザイン株式会社
■施⼯︓株式会社 塩浜⼯業
■アクセス︓【⾞】 ⾸都⾼速湾岸線「杉⽥ IC」より3km/横浜横須賀道路「並⽊ IC」より 2.5km
【電⾞】⾦沢シーサイドライン「並⽊北駅」より 1.2km(徒歩 10 分)

(藤原秀行)

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