共同出資し早期実用化目指す、供給網構築も課題に
戦前の森村財閥を源流とする森村グループに属する日本ガイシ、TOTO、ノリタケカンパニーリミテド、日本特殊陶業の4社は3月4日、セラミックを中心材料として空気中の酸素や都市ガスから作った水素を反応させ、電気を生み出す「固体酸化物形燃料電池(SOFC)」の研究開発や製造・販売などを手掛ける新会社を今年12月1日に共同出資で設立すると発表した。
各社がこれまで単独で確立を目指してきた技術を持ち寄り、新会社を軸として研究開発を加速。コスト低減と耐久性向上を図り、早期の実用化を目指す。4社が足並みをそろえて燃料電池に関する強固なサプライチェーンを構築できるかどうかも課題となりそうだ。
SOFCは高効率な発電が可能でCO2を排出しないなど環境負荷も低いのがメリットだが、量産化が難しいことなどがネックとなっている。4社はそれぞれセラミック関連の技術に強みを持っており、一般家庭と業務の両方の用途で需要が見込めると判断、実用化の取り組みを強化することを決めた。
新会社の経営陣や資本金、4社の出資比率は今後詰める。本社は日本特殊陶業の小牧工場(愛知県小牧市)内に置く方向。
東京都内で記者会見した日本ガイシの大島卓社長は「1年ほど前から何か4社でできないかと話し合ってきた。(新会社設立で)SOFCの技術レベルが一段と上がる」と期待を表明。ノリタケカンパニーリミテドの加藤博社長は「4社が技術を持ち寄ることで開発の速度が増すのに加え、用途拡大など新たな展開にもつなげていくことができる」と狙いを説明した。
TOTOの喜多村円社長は「技術者が参集してブレークスルーを生み、良いものを作っていきたい」と意気込みを示した。日本特殊陶業の尾堂真一会長兼社長は「開発スピードを上げるために他社との連携を考えていく中で、4社が知恵を出しながら取り組むのは極めて自然な流れだ」と連携の意義を強調した。
記者から新会社設立が将来的な経営統合につながる可能性を問われたのに対し、ノリタケの加藤社長は「そういう話は全くない」と明確に否定した。
会見後の記念撮影に応じる(左から)加藤、喜多村、大島、尾堂の各氏
(藤原秀行)