上空から撮影、被災状況確認も想定
北海道厚真町と電通北海道、セイノーホールディングス(HD)、エアロネクスト、NEXT DELIVERYは3月3日、同町で3月1~2日、災害時を想定した避難所への救援物資のドローン配送に関する実証実験を行ったと発表した。
セイノーHDとエアロネクストが、人口減少と高齢化に直面する地域の物流ネットワークを維持するため開発を進めている、ドローン配送と陸上輸送を融合した新スマート物流「SkyHub(スカイハブ)」の社会実装に向けた取り組みの一環。実際のオペレーションはNEXT DELIVERYが担った。
荷物を届けるエアロネクストの物流専用ドローン「AirTruck」
厚真町は北海道胆振東部地震の際に甚大な被害を受けた。現在は太陽光・木質バイオマス発電施設整備による「防災力の強化」、「公共施設群の再生可能エネルギー活用」、「排熱利用による産業創出」を一体的に進めるエネルギー地産地消事業を展開している。
さらに、被災森林の再生と森林管理によるCO2吸収源確保などの取り組みを実施しており、持続可能な地域づくりを実現するため、2050年CO2排出量ゼロを目指して「ゼロカーボンシティあつま」を宣言している。
今回の実証は災害時を想定し、ドローンによる避難所への救援物資の配送を実証。併せて、上空からドローンで町内の被災状況を確認することを想定した撮影も実施した。
今後は買い物難民へ向けての買い物代行サービスの検討も進め、医薬品配送、フードデリバリーの配達代行、共同配送や貨客混載なども組み込み、地域コミュニティ活性化を目指した取り組みを続ける予定。
実証は災害で道路が寸断、陸路で救援物資を運搬するのが困難になっていると仮定し、町内の豊丘マナビィハウスと、2018年に発生した胆振東部地震の際、最大震度7の揺れを観測した鹿沼エリアの鹿沼マナビィハウスをドローンでつなぎ、町民に救援物資を空輸した。
ドローンで空輸した救援物資
実験は環境優良車普及機構が「令和4年度(2022年度)二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(社会変革と物流脱炭素化を同時実現する先進技術導入促進事業)」として採択済み。
(藤原秀行)※写真はいずれもエアロネクスト提供