日米両政府が重要鉱物のサプライチェーン強化で協定締結

日米両政府が重要鉱物のサプライチェーン強化で協定締結

EV優遇の要件緩和へ、日本にメリット

経済産業省は3月28日、日米両政府が重要鉱物のサプライチェーン強化に関する協定を締結したと発表した。

ワシントンの米通商代表部(USTR)が同日、冨田浩司駐米国日本国特命全権大使とキャサリン・タイUSTR代表が協定に署名した。

協定は、今後もEV(電気自動車)の普及に伴い、バッテリーの需要が大きく伸びると見込まれる中、製造に不可欠な重要鉱物を確保することが喫緊の課題となっているのを踏まえ、持続可能で衡平なサプライチェーンの確保に向け、日米が協力を強化することをうたっている。

対象の鉱物はコバルト、グラファイト、リチウム、マンガン、ニッケルの5種類。

米国の歳出・歳入法(インフレ削減法)はEVの普及支援策を打ち出しており、その一環として、北米で最終的に組み立て、電池に使っているリチウムなどの重要鉱物の一定割合を米国や、米国とFTA(自由貿易協定)を結んでいる国から調達していることを条件としてEV購入時の税控除を設定している。

日米両国は貿易協定を結んでいるが、インフレ削減法は日本をFTA締結国とは位置付けていないため、日本政府が要件緩和を求めていた。今回の協定締結を受け、米政府はインフレ削減法の要件を緩和し、日本の重要鉱物利用もEV購入時の税優遇対象にすることを検討する。

(藤原秀行)

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