医療品配送網構築のニーズ確認調査、JICAの事業に採択
エアロネクストは3月30日、ドローン物流でモンゴルへの進出を目指すと発表した。実現すれば海外展開は初となる。
国際協力機構(JICA)の2022年度「中小企業・SDGsビジネス支援事業」が、エアロネクストが打ち出している「モンゴル国でドローンを活用した医療品配送網構築に係るニーズ確認調査」を採択した。調査機関は今年6月から2024年1月まで半年間の予定。
エアロネクストはJICAの支援を受けながら調査を実施。日本各地の自治体で展開している、ドローンと既存の輸送車両などを組み合わせて物流ネットワークの維持を図る新スマート物流「SkyHub(スカイハブ)」の海外展開へ準備を進めていきたい考え。
モンゴルは全人口の半数(約160万人)が首都のウランバートルに集中し、慢性的な渋滞、不十分な道路インフラ整備で物流網の強化が円滑に進んでいない。救急車通行が妨げられる場合もあり、医療だけでなく経済活動にも悪影響が出ているのが実態。都市中心部での局所的なガソリン車利用により大気汚染も進んでいる。
一方、所得水準の向上やIT・通信環境の整備でEC利用者が増加し、個別配送の需要が高まっている。
エアロネクストは、空路の活用で即時性・経済性・環境面といった面で持続可能性が高い物流インフラを構築できれば、医療サービスをはじめ都市生活環境の改善に貢献できると判断。モンゴル現地の事業者や団体と連携し、SkyHubの事業化に向けた調査・仮説検証を進める考え。
渋滞の中苦労して通行する救急車(エアロネクストの実地調査より)
慢性化しているモンゴル市内の渋滞状況(エアロネクストの実地調査より)
モンゴル市内の降雨後の道路状況 (エアロネクストの実地調査より)
昨年8月にモンゴルで開催された「モンゴル・日本ビジネスフォーラム」で、リアルとオンラインの観客約500人を前に、日本におけるSkyHubの実績や物流専用ドローン「AirTruck(エアトラック)」を紹介、高い評価と反響を得たという。
「モンゴル・日本ビジネスフォーラム」でSkyHubの成果などを発表するエアロネクスト関係者
採択案件概要
提案内容
「モンゴル国ドローン活用した医療品配送網構築に係るニーズ確認調査」
調査期間
2023年6月~2024年1月(予定)
調査項目(抜粋)
1)飛行時の基本条件把握
・航空法、電波法などドローンを飛行させる上での基本的な法規環境
・各法規の管轄組織およびキーパーソン
・電波の通信状況
・気象条件(風・雨・気温など)
・河川ルートの把握
2)課題把握
・渋滞の常態化の一因となっている幹線道路を使った物資輸送の現状
・自動車利用によるCo2排出と季節別、エリア別の大気汚染状況
・医療分野での緊急輸送の現状(救急車の運用状況)
(藤原秀行)※写真はいずれもエアロネクスト提供