「日立物流」の社名が37年半で幕、4月1日に「ロジスティード」誕生

「日立物流」の社名が37年半で幕、4月1日に「ロジスティード」誕生

米KKR傘下で新体制、将来の再上場視野に国際物流成長図る

日立物流は4月1日、社名を「ロジスティード(LOGISTEED)」に変更する。物流業界で広く浸透している現在の社名は創業35年を迎えた1985年7月から使われ続けてきた。約37年半で幕を閉じ、新体制に移行する。

米投資ファンドKKR(コールバーグ・クラビス・ロバーツ)が総額約6700億円を投じて日立物流を買収したのに合わせ、社名を自社のビジネスコンセプトと統一。目標としている「グローバル3PLリーディングカンパニー」の実現に向け、新たな領域にも積極的にチャレンジしていく姿勢をアピールする。


LOGISTEEDのロゴ(日立物流提供)

日立物流は日立製作所傘下の物流企業として、顧客の物流業務を包括的に受託する3PLサービスを業界に先駆けて展開、定着させてきた。弊社「月刊ロジスティクス・ビジネス(LOGI-BIZ)」の調査によれば、21年度の3PL売上高は前年度比4%増の4593億円と、ヤマトホールディングスやSGホールディングスに次ぐ規模を持つ。

近年は新たな成長戦略として、国際物流の成長に尽力。いったんはSGホールディングスグループと資本・業務提携し、東南アジアや欧米での事業拡大を図ったが、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大で環境が激変したことなどから方針を転換。資本提携を解消した。ただ、SGHDグループとは物流拠点の共同利用など業務面の連携を今後も維持する。

その後、日立製作所がグループ企業の上場見直しや再編を推進するのと合わせて、日立物流も海外展開加速などを図るため、株式譲渡を模索。複数の海外投資ファンドなどの中からKKRと組み、株式市場の動向などに左右されず中長期的に経営変革へ取り組める非上場化を選択した。

現在はKKRの関係会社が日立物流の議決権付株式の9割、日立製作所が1割を握っている。KKRからは社外取締役を受け入れるなど協力体制を構築しているが、経営は4月以降も引き続き、髙木宏明社長(COO=最高執行責任者)、中谷康夫会長(CEO=最高経営責任者)の2トップを軸に展開する。

ロジスティード(LOGISTEED)はLOGISTICSとExceed(超える)、Proceed(進む)、Succeed(成功する)を組み合わせた上で、Speed(スピード)を持って実⾏することを表現した日立物流の造語。同社は「ロジスティクスを超えてビジネスを新しい領域に導いていく意思が込められている」と背景を説明している。

経営ビジョン「グローバルサプライチェーンにおいて最も選ばれるソリューションプロバイダ」に向け、2017年からビジネスコンセプトとして活用している。KKR買収という大きな節目を迎え、新たな社名に採用することで「創業以来の想いを礎とし、ビジネスと世界に新しい未来を実現していく当社の姿と想いを表している」と強調している。

グループ会社の社名にもLOGISTEEDの名称を採用、一体感を醸成していく狙いがある。KKRが国内外で持つ幅広い企業などのネットワークも生かしていきたい考えだ。

KKRと日立物流は、ロジスティードに移行した後、他の企業などからも出資を募ることを想定している。国際物流の伸長などで成長を果たせれば、数年後に株式を再上場させることを視野に入れている。そのため、株式非上場となった後も、業績の開示などは積極艇に行う構えだ。

(藤原秀行)

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