公取委が法令順守体制改善の確約計画を認定
公正取引委員会は4月6日、関西を中心にドラッグストアを展開しているダイコク(大阪市)が2020年、納入業者へ商品在庫を不当に返品しようとしていた問題に関し、独占禁止法に基づく「確約手続き」に沿ってダイコクが提出した自主的な法令順守体制の改善計画を認定したと発表した。
同手続きは2018年12月にスタート。独禁法に違反していると疑われる行為のうち、違反の度合いが比較的嫌疑なものについて、企業が自発的に改善計画を策定して改善を「確約」すれば、公取委が排除措置命令や課徴金納付命令を免除する。不当な行為を早期に解消させるよう促すのが狙いで、公取委が同手続きに則って改善計画を認定したのは3例目という。
公取委によると、ダイコクは新型コロナウイルス感染拡大で訪日旅行客が激減し、店舗の閉鎖を強いられ商品の在庫が積み上がったため、2020年3月ごろから22年4月ごろにかけて、納入業者に売れ残った医薬品や化粧品などを引き取るよう要請。併せて、閉店による返品作業のため従業員を派遣するよう求めていた。
公取委はこうした行為が、納入業者に対して優越的な地位を濫用して行為を求めることを禁じる「優越的地位の濫用」に当たる疑いがあると判断。22年4月に同社へ立ち入り検査していた。同社はその後、改善計画の提出を公取委に提出する意向を示していた。
改善計画は、納入業者約80社に総額約7億5000万円を返金することを確約している。公取委は認定に伴い、独禁法違反の疑いが解消されると判断。同社に対する措置排除命令を免除する。
ダイコクは同日、「納入業者をはじめとする各関係先の皆様に多大なるご迷惑、ご心配をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます。このたび認定を受けました確約計画を確実に実行するとともに、独禁法の遵守をはじめとするコンプライアンスの徹底を一層強化し、より信頼される企業を目指して事業活動を進めてまいります」とのコメントを発表した。
(藤原秀行)