世界初、26年ごろ竣工目指す
商船三井と常石造船、三井E&S造船は4月14日、共同で開発を進めているアンモニアを燃料とする外航液化ガス輸送船のリスク評価を行い、4月10日に日本海事協会(ClassNK)と英国のロイド船級協会から基本設計承認(Approval in Principle、AiP)を取得したと発表した。
ClassNKとロイド船級協会の2船級のAiPを取得したのは世界で初めてという。
外航液化ガス輸送船(イメージ)
AiP証書授与式の様子
本船は、燃焼時にCO2を排出しないアンモニアを燃料として使用できる主機関を搭載した、中型アンモニア・LPG(液化天然ガス)輸送船。本船は貨物として積載したアンモニアの一部を燃料として使用し、航海中のCO2排出量ネットゼロを実現することを目標に設定している。
アンモニアは脱炭素に貢献できる次世代のクリーンエネルギーとして期待される一方、可燃性・毒性・腐食性を持つため十分な安全性を確保する必要がある。加えて、現時点ではアンモニアを舶用燃料として利用するための国際的な規則が存在していないことが課題。
3社はClassNKおよびロイド船級協会とそれぞれ、システムの潜在的危険の大きさと発生頻度を専門家間で討議し、システム全体として十分な安全性を持つようにするリスク評価・管理手法「HAZID」を実施。アンモニアを舶用燃料として使用する際の安全性について多角的な視点からリスク評価を行い、両船級協会から本船の基本設計に関する安全性の評価を得た。
今後はネットゼロ・エミッション外航船となる本船の2026年ごろの竣工に向け、引き続き設計を進める。
外航液化ガス輸送船(イメージ)
本船概要
全長:約180m
全幅:約30m
型深:約19m
積載容量:約40,000㎥
主機:三井-MAN B&W製アンモニア燃料2ストロークエンジン S60型(開発中)
(藤原秀行)※いずれも商船三井提供