法人顧客との運賃引き上げ交渉、順調にスタートと説明
ヤマトホールディングスの栗栖利蔵副社長は5月10日に開催した2023年3月期連結決算の電話会見で、現行の中期経営計画に沿って推進している様々な構造改革に関し「2年間が終わった段階では、きちんと進めるべきことは進めていると理解している」と語り、物流拠点の集約・大型化による輸送・作業コストの適正化や業務負荷軽減などの施策が着実に進んでいるとの考えを強調した。
栗栖副社長は人材確保について「相当不足しているかというと、きちんとそれぞれ(の現場)において確保できているととらえている」と強調。一方、「今後はネットワークのところで、営業所を大型化していったり、ベースでも働き方を見直して発送・到着作業を変えたりすることで、要員の活用の仕方が変わってくると考えている。そういう意味からすると、パートさんを中心に減少が見込まれる」と語った。
リテール(toC)部門で24年3月期にパートタイマーが6.5%減少する見込みを示していることに言及。「現状は要員を減少させても十分に成り立つと考えている。そういう中で現有の人員をしっかり確保していくことが大事」と語った。
一方、事業構造などの改革に関し、営業店やベースの集約は「用地をしっかり確保していくことや、既存の施設をどうするかといった様々な、複合的な問題が絡み合ってくるので、机上論の通りにはなかなか行かない部分もある」と指摘。進捗が遅れるリスクが存在していることも念頭に置いていると説明した。
4月に実施した個人利用者がメーンの宅配便基本料金値上げと併せて取り組んでいる法人顧客との運賃引き上げ交渉に関し、栗栖副社長は「大口顧客は単純に運賃単価という話ではなく、オペレーション周辺のこともあり、様々なお話をさせていただいている。これから単価アップへさらに話し合いをさせていただく。(どの程度交渉が進んでいるかを)数字でお示しすることは難しいが、現状では順調にスタートを切れている」と述べた。
会見に同席した樫本敦司常務執行役員は「期の後半に入ってくると運賃改定の効果が出てくる」と展望した。
EC関連の荷物の伸びが減速しているとの見方が物流業界などから出ていることに対しては、樫本常務執行役員が、EC事業者向けの物流サービス「EAZY」が引き続き堅調に推移すると予想していることを明かした上で「新型コロナウイルス禍の初期に比べれば、成長という意味では少し鈍化しているが、その中でも引き続きこの程度の伸びはあるかなという見方をしている。EC専用の輸配送ネットワークはまだキャパシティーを広げる余裕はある」と指摘した。
(藤原秀行)