広域幹線輸送で荷物集約機能持つゲートウェイ拠点を関西にも展開へ
ニチレイロジグループ本社の梅澤一彦社長は5月15日、東京都内の本社で開催した2022年度事業報告会で、トラックドライバーの長時間労働規制が強化される「2024年問題」を念頭に置いた輸送基盤の強化策を明らかにした。
2024年問題が影響することが見込まれる広域幹線輸送について、関東の各拠点からの貨物を集約する「ゲートウェイ(GW)機能」を持つ物流センターを神奈川県の厚木エリアに構え、パレットを活用し1台のトラックに積載する貨物を増やすことで関東~東海間の輸送を効率化できたと成果を強調。2023年度は関西エリアにもGW機能を備える拠点を置き、関西から関東に向けた貨物について同様に集約、輸送効率化を果たせるよう取り組む意向を示した。
また、荷台部分を切り離せるトレーラーの特性を生かして中継輸送を推進、トラックドライバーを物流拠点の積み下ろし作業から解放する新たな輸配送システム「SULS(サルス)」についても、輸送能力の増大につながっていると強調。23年度はトレーラーの台数を現状の19台から2倍近い34台に拡充し、ドライバーによる荷役時間をより減らしていくことを目指す考えを示した。SULSの運行エリアは東名阪以外にも広げていくことを視野に入れている。
梅澤一彦社長は2024年問題への対応として、「当社が取引してサービスを提供しているお客様であったり、貨物については今年度中に法律に対応した形で運べる道筋ができていると思っている」と強調。
その上で「今後は、例えば保管だけお受けしているお取引先や、新たにお付き合いするお客様に対して提供するサービスを増やしていく。そこにさらなる基盤強化が必要だと思っている」との見解を示した。
説明会に出席した梅澤社長
梅澤社長は厚木GWの稼働により、関東~東海の拠点間往復でドライバーが日帰りすることが可能になり、稼働時間は1泊2日から12時間に短縮することができたと説明。関西GWを稼働させることで、関西から関東に向けた貨物も同様にオペレーションできるとの見方を示した。
また、SULSで物流拠点の積み降ろしは別途、専門の要員に任せることにより、パレット24枚の搭載が可能な自社トレーラーを生かした輸送能力増大を実現できたと解説。SULSを採用したエリアでは、関東~関西間往復をそれまでの4泊5日から1泊2日へ大きく短縮できたとアピールした。片道の輸送貨物量を16枚積み10t車比で1.5倍に伸ばせたという。
23年度は関西~九州間の長距離運行についても同様にSULSの枠組みを取り入れ、日帰り運行できるようにすることを目指す方針に言及した。
このほかの2024年問題対応として、24年1月に子会社のキョクレイの「神戸六甲物流センター」が完成する点に触れ、関西に新たな拠点を立ち上げることで、神奈川の大黒エリアの拠点と合わせて、関東・関西間で乳製品などの輸送がより円滑になる上、神戸の新センターを起点として西日本エリアの顧客向け域内配送も広げられると想定。
他にも、顧客向けの専用センターとして、今年3月に千葉県流山市でイトーヨーカ堂向けの「流山TC」、今年4月には香川県坂出市でハローズ向けの「坂出TC」をそれぞれ開設したことを紹介し、車両の高度活用を実現したとPR。2024年問題への対応として車両の高度活用を図ることなどを明かした。
(藤原秀行)