JILSの2023年度最優秀物流改善賞、コマツ物流とSBS東芝ロジスティクス、ホンダに授与

JILSの2023年度最優秀物流改善賞、コマツ物流とSBS東芝ロジスティクス、ホンダに授与

梱包作業時間削減などを評価

日本ロジスティクスシステム協会(JILS)と日本物流資格士会は6月28日、2023年度の物流改善賞の選定結果を公表した。

最優秀物流改善賞は、コマツ物流、SBS東芝ロジスティクス、ホンダの3社にそれぞれ授与した。ホンダは22年度からの連続受賞となった。

各受賞の概要は以下の通り(掲載は社名50音順)。

2023年度最優秀物流改善賞(3件)
【物流業務部門】
受賞事例:海外向けボルト梱包作業の改善~苦渋作業を減らすぞ大作戦~
受賞企業:コマツ物流
事例概要:苦渋作業と感じるボルト梱包作業において、データ解析から①載せ替え作業が多い②仕分け時の運搬動線が長い点に着目し、それぞれ①仕分け作業時、輸出容器の底板に直接仕分けることで乗せ換えを廃止、②コの字レイアウトの採用により動線を短縮したことで作業時間削減目標を達成、苦渋作業を大幅に削減した。

【物流管理部門】
受賞事例:DFL思考 × 包装デザインアップデートによる顧客価値共創 ~工業用電子管におけるコスト低減、作業性向上、サステナビリティを追求~
受賞企業:SBS東芝ロジスティクス
事例概要:工業用電子管における従来の包装仕様は、コスト高・作業工数増・環境負荷増(プラ使用)が主な問題点であった。そこで、競合他社調査をふまえ、DFL思考にて、顧客製品仕様を制約条件と捉えて協働し、包装デザインのオール段ボール化・コンパクト化を実現。結果、包材費65%減、作業工数30%減、プラ100%減(脱プラ)、CO2量25%減を共創した。

受賞事例:物流作業の標準時間算出ツール開発による作業要員数の適正化
受賞企業:本田技研工業(ホンダ)
事例概要:物流作業における工数算出方法が標準化されておらず、実作業の計測やカン・コツに委ねられていた。そこで物流作業を68の要素作業に分類し、標準時間を設定することで、作業に応じた要素作業を選択すれば、標準工数が算出できるツールを開発した。これにより工数算出作業の効率化と作業要員数適正化による生産安定化に繋げた。

2023年度優秀物流改善賞(5件)
【物流業務部門】
受賞事例:物流IEを活用したサステナブルなオペレーションの実現 ~”働きたくなる”受注センターに向けた全員活動~
受賞企業:NX・NPロジスティクス
事例概要: 受注センターでのオペレーションは多岐に渡り、属人的な運営となっていた。人材の確保が難しい環境への対応と、物流現場運営への支援を目標に、IEを活用した作業の見える化や、作業環境の改善を進め、“働きたくなる”受注センターを目指した。

受賞事例:待機時間削減に向けた自動倉庫からの出荷能力向上
受賞企業:花王
事例概要: 同社川崎工場では、1日150台を超える車両により出荷を行う中、荷待ち時間が2~3時間発生しており、出荷業務の改善が求められていた。荷待ちが最も多く発生していた場内自動倉庫からの出荷において、システム導入に留まらず、データ分析から現場確認を積み重ね、課題を顕在化させ改善活動を行い、出荷能力を15%改善することに成功した。

受賞事例:ハンディターミナルシステム導入による出荷梱包業務の合理化推進活動 ~20年以上続く手作業からの脱却~
受賞企業:コマツ物流
事例概要:大型建設機械の部品出荷梱包業務において、①出荷帳票作成の為の手入力②オーダ単位で一括印刷されたラベルから対象ラベルを探す作業③目視による照合作業などを行っており、多くの工数がかかっていた。そこで、①マスタデータとの連携等による自動化、②③ハンディターミナルにより部品毎にラベルを出力し出荷リストと照合する事等を実施、作業生産性の向上を実現した。

受賞事例:受託業務における標準化/平準化とDX
受賞企業:ロジスティックスオペレーションサービス
事例概要: 家電品修理部品の供給拠点の海外出荷業務において、出荷締めまでの作業時間の短さや注文数のバラツキにより、求められる海外出荷順守率を達成できていなかった。そこで「DX化=人と組織の変革」の活動をテーマに①作業の標準化②マルチタスクによる効果の確認③生産性向上によるKPI設定と平準化(適正工数化)を目標に改善を進め、海外出荷順守率100%を実現した。

【物流管理部門】
受賞事例:大口物件集中管理専門組織の設立による物流要件を取り込んだ戦略的納入計画の立案と遂行
受賞企業:オカムラ
事例概要: 物流コスト適正化を目的に、販売/生産/施工/物流の各経験者を集めた「受注管理センター」を発足させた。当組織は大口物件の引合段階から情報収集し、物流要件を取り込んだ戦略的納入計画を立案、特に生産工場から客先直納による配送センターの入出荷量削減により、2022年には440百万/年のコストダウンを実現した。

(藤原秀行)

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