空港施設の定時株主総会、乘田氏社長再任反対が7割超

空港施設の定時株主総会、乘田氏社長再任反対が7割超

元国交次官の人事介入問題

空港施設が6月29日に開催した定時株主総会で、会社側が提案した日本航空(JAL)出身の乘田俊明社長を取締役に再任する案に対し、反対票が7割を超えたことが分かった。

空港施設が7月5日、定時株主総会の議案に対する賛否の状況をまとめた臨時報告書を関東財務局に提出した。乘田氏は退任し、後任の社長に生え抜きの田村滋朗取締役常務執行役員が6月29日付で昇格した。

同報告書によると、乘田氏への反対は75.87%に達した。同社に約2割を出資している大株主のJALとANAホールディングスがともに反対に回ったことが明らかになっており、他の株主の間にも両社に追随する動きがあったことが浮き彫りとなった。

他の取締役8人はいずれも9割台の賛成があった。

空港施設をめぐっては、元国土交通事務次官の本田勝氏が昨年12月、国交省元東京航空局長の山口勝弘副社長(当時、4月に辞任)を次の社長にするよう人事に介入していたことが発覚。

空港施設が設置した独立検証委員会の調査で、山口氏が取締役から副社長に昇格した2021年の幹部人事でも、取締役候補者の選任過程で山口氏が国交省の存在をちらつかせながら副社長に昇格させるよう自薦するなど不透明な点が明らかになった。

企業統治改善のため、新たな取締役候補からは国交省出身者がいなくなっていた。空港施設としては人事介入の問題が判明して以降、初めての定時株主総会だった。

(藤原秀行)

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