東京商工リサーチの18年度調査で全産業は400件と過去最多
東京商工リサーチ(TSR)が4月5日に発表した「2018年度人手不足関連倒産」によると、当期に貨物自動車運送などの運輸業で人手不足関連を理由に倒産した企業数は前期の21件から61.9%増の34件だったことが分かった。サービス業(105件)、建設業(75件)、製造業(62件)、卸売業59件に次ぐ高い水準。全産業合計は28.6%増の400件と年度ベースでは過去最多となった。
TSRは13年度から同調査を実施。18年度は代表者や幹部役員の死亡、病気入院、引退などによる「後継者難」型が269件、次いで人手確保が困難で事業継続に支障が生じた「求人難」型が76件、賃金など人件費のコストアップから収益が悪化した「人件費高騰」型が30件、中核社員の独立や転職などで事業継続に支障が生じた「従業員退職」型が25件だった。後継者難が全体の7割弱を占め、これに求人難や人件費高騰が加わったことで人手不足関連の倒産は増加した。
画像は東京商工リサーチニュースリリースより
TSRでは「企業倒産が低水準をたどる中、人手不足関連倒産の増勢ぶりが目を引く」と分析。とりわけ求人難型、人件費高騰型の増加が目立つとした上で「人手不足の早急な解消が難しい現状では、今後の企業倒産を押し上げる複合的な要因にもなっている」と指摘している。
(鳥羽俊一)