【現地取材・動画】ヤマトが三菱ふそうの新たなEV小型トラック900台を全国に導入

【現地取材・動画】ヤマトが三菱ふそうの新たなEV小型トラック900台を全国に導入

脱炭素加速へ24年3月までに完了予定、2tクラスは初めて

ヤマト運輸は9月12日、三菱ふそうトラック・バスが開発したEV(電気自動車)小型トラック「eCanter(eキャンター)」の新型モデル約900台を、全国に順次導入すると発表した。

ヤマトが配送用の2tクラスのトラックにEVを採用するのは初めて。充電設備などが整った拠点から順次配備し、24年3月までに導入を完了する予定。

物流領域の温室効果ガス排出削減が強く求められているのを受け、ヤマトは2030年までにEV2万台を導入する目標を掲げており、今回の新型「eCanter」採用もその一環。


お披露目した「eCanter」新モデル

ヤマトは昨年7月、日野自動車のEV小型トラック「日野デュトロZEV」を首都圏などに500台投入する計画を公表済み。ヤマトは今後、EVトラックに関し、日野は1tクラスで主に都市部の住宅街など向けに、三菱ふそうは2tクラスで近郊部の住宅地と商業施設が集まるエリアなどにそれぞれ展開、棲み分けを図る。

新型「eCanter」は従来より多様な車両タイプを準備するなど、使いやすさを重視している。

ヤマトは物流拠点を集約・大型化するとともに、太陽光発電など再生可能エネルギーによる電力の活用を拡大している。拠点で生み出した再生可能エネルギー由来の電力でEVを充電することも想定している。

ヤマトと三菱ふそうは同日、群馬県高崎市内のヤマト営業所で新型「eCanter」をメディアにお披露目した。現地で記者会見したヤマトの長尾裕社長は「物流事業は非常に温室効果ガスの排出量が大きい。引き続き環境に対しての取り組みをしっかり、着実に行うことで持続可能な物流を実現していきたい」と語り、EV導入を引き続き進めていく姿勢を強調した。

三菱ふそうのカール・デッペン社長兼CEO(最高経営責任者)は「日本は先進的な脱炭素の取り組みを進めている。その取り組みにおいて、ヤマトさんと一緒に歩めることを非常にうれしく思っている」と述べた。


会見後の撮影に応じる三菱ふそうのデッペンCEOとヤマトの長尾社長

今回導入する車両は常温・冷蔵・冷凍の3温度帯に対応。車幅を狭くするなど、街中のラストランマイル配送に使いやすくしている。ヤマトの要望を受けて充電口を車両後方に取り付け、荷室からの荷物の出し入れに支障をきたさないよう配慮している。

ヤマトは初代の「eCanter」も2017年に25台取り入れている。三菱ふそうは車両の提供に加えて、効率的な車両運用やメンテナンスもサポートする。

新型の「eCanter」は普通充電で約8時間、急速充電で約40~50分かかる計画。1回の充電当たり航続距離は116kmを見込む。


静かな走行


充電のデモ

(藤原秀行)

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