【独自・INNOVATION EXPOリポート】自動化・省力化ソリューション、国内勢と海外勢がしのぎ削る

【独自・INNOVATION EXPOリポート】自動化・省力化ソリューション、国内勢と海外勢がしのぎ削る

AGVや自動倉庫が目白押し

物流に関する大型展示会「国際物流総合展2023 第3回INNOVATION EXPO」が9月13~15日の3日間、東京都江東区有明の東京ビッグサイトで開かれた。1994年の初開催から2年に1度のペースで実施してきた「国際物流総合展」のスピンオフ企画で、今年が3回目。

トラックドライバーの長時間労働規制強化に伴う物流現場の混乱が懸念されている「2024年問題」を直前に控え、国内と海外のメーカーやサービスベンターが物流業務の自動化・省力化を様々な切り口で実現させようとするソリューションを多数公開、しのぎを削った。荷主企業や物流事業者の間で同問題への危機感が高まっていることを印象付けた。

期間中の来場登録者数は累計で4万4640人に達し、2021年開催の前回(第2回)の2倍強となった。会場の様子を複数回に分けてリポートする。


来場者でにぎわう会場

異なるメーカーのロボットを一元制御も

中国系のギークプラスは、大量の商品が入った大型収納ラックをGTP型AGV(無人搬送ロボット)が持ち上げ、ピッキング作業を行うステーションで待ち受けるスタッフの元まで運ぶシステム「PopPick(ポップピック)」のバージョンしたタイプを展示。防火シャッター直下を通過できる高さ3.9mで稼働させられるため、防火区画をまたいでAGVが移動可能で、防火区画にこだわらずオペレーションを展開できる。空間利用効率を高められると見込んでいる。コンテナの入出荷もスピードアップを実現した。ブースではこのほか、東芝テックと連携して開発した、RFIDを活用した自動棚卸しのソリューションも公開した。


ギークプラスの「PopPick」ニューバージョン

同じく中国系のHAI ROBOTICS JAPANは、主力製品のACR(自動ケースハンドリングロボット)と協調して入出荷作業を自動化する新たなAGV「HAIFLEX(ハイフレックス)」を出展した。最大1000kgの荷物を搬送できるのが強みで、保管スペースの上部空間まで有効活用可能なACRと組み合わせることにより、重量物をはじめ、より多様な商品を取り扱えるようになると見込む。


HAI ROBOTICS JAPANのACR

フランス系のExotec Nihonは、自動倉庫システム「Skypod(スカイポッド)システム」をあらためて出品。日本では既に「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングやヨドバシカメラ、アルプス物流、三井不動産などが採用している。搬送ロボットが前後左右上下に走行し、積み重ねた専用ラックに収めている「ビン」と称するトレーやケースの中から必要なアイテムが入ったものを取り出し、作業者の手元まで自動搬送する流れを再現。最大12mの高さまで保管可能など、入出荷の迅速化と保管効率アップを実現できると盛んにアピールした。


Skypodシステム

中国系のQuicktron Japanは、ACR「QuickBin(クイックビン)」の新たなタイプをお披露目した。同社のACRは三井物産グローバルロジスティクスが日本で初めて自社センターに導入した。新タイプは保管スペースからの商品が入ったケースの取り出し方を見直したことなどにより、旧来製品より保管密度を2割高められているのが特徴。2023年中にACRを紹介するラボを日本国内に設置するなど、自動化・省力化のニーズの高まりへ積極的に対応していく構えだ。


QuickBin

日本製も存在感を発揮していた。プラスオートメーションは、メーンで取り扱っている仕分けアシスト用ロボット「t-sort」と、立体型のロボットソーター「t-sort 3D」を公開。加えて、新たなソリューションとして、異なるメーカーのロボットが同一エリアでそれぞれ衝突や接触などのトラブルを起こさず、効率的に運用できるようにする一元制御のシステムのデモを披露した。一元制御を社会実装することにより、荷主企業や物流事業者がロボットを導入するハードルを下げられると意気込む。


一元制御を披露するプラスオートメーションのブース

Gaussyは、物流ロボットの導入をサポートするサービス「Roboware(ロボウェア)」で取り扱う機種として、新たに中国系のForwardX RoboticsのAGV(自律移動ロボット)「Flex(フレックス)シリーズと「Max(マックス)」シリーズ、Suzhou Mushiny Intelligence TechnologyのAGV「Mushiny(ムシニー)」を公表した。「Flexシリーズ」「Maxシリーズ」は一般的なAMRより重い物を運べる点など、「Mushiny」は最大積載量1500kgでマイナス20℃までの低温下で稼働できる点などがそれぞれアピールポイントだ。ラインアップを拡充し、多様な自動化・省力化のニーズに応えていく構え。


AGV「Mushiny」

中国系のHik robot(ハイクロボット)は、AGVとARCを連携させた保管・入出庫の自動化システムに加え、自動フォークリフトやパレット検収システムなども併せて紹介。さらに、AIを活用して倉庫内のレイアウトを最適化する手法もアピールした。高性能のコードリーダーなどを組み合わせ、物流のさまざまなデータを可視化する技術も発表するなど、日本の物流現場の効率化に強い意欲を見せていた。


Hik robotのブース

オカムラは、物流施設や工場など向けのAI搭載AGV「ORV(Okamura Robot Vehicle)」のデモンストレーションを公開。障害物をよけながら、かご車をAIが自動で認識し指定の場所まで搬送できる姿をPRした。複数のかご車を整列して配置したり、狭い空間にかご車を収めたりできる点も説明、庫内作業を安全に自動化できる点を積極的に訴えていた。


かご車を搬送するORV

(藤原秀行)

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