SaaSサービス「nimaru(ニマル)」の展開加速図る
クラウド型の農業流通現場向け効率化支援サービス「nimaru」(ニマル)を運営しているスタートアップのkikitori(キキトリ)は9月27日、グロービス・キャピタル・パートナーズ、農林中金イノベーション投資事業有限責任組合(グローバル・ブレイン運営)、Valuechain Innovation Fund投資事業有限責任組合(Spiral Innovation Partnes 運営)を引き受け先とする総額約3億円の第三者割当増資を実施したと発表した。
調達した資金はnimaruの利用顧客拡大のためのセールス・カスタマーサクセス組織強化、開発体制の増強に充て、より細かなニーズに対応できるようにする構え。
農産物の流通は紙の処理や電話、ファクスといったアナログ方法が依然広く残っており、非効率な流通による機会損失やフードロス、アナログな現場業務による人材流出が深刻な課題になっている。
kikitoriは課題解決のため、2019年10月にnimaruのサービス提供を開始。初期のターゲットとして農産物流通の中でも3兆円の市場規模を持つ青果流通(野菜・果物の流通)に焦点を当て、青果物という複雑な商品を扱う流通現場の様々な業務を全国の流通現場に実際に入りながら地道にシステムのモデリングを行ってきた。外部事業者とのデータ連携が可能なクラウド型の汎用的サービスとして、JAや卸売市場を中心に全国の青果流通事業者と生産者の間で利用が広がっている。
現在では北海道から九州地方まで利用事業者は全国で80社を超え、5000人以上の生産者を中心とした出荷者が日々活用している。22年1月の産地向け集出荷機能のリリース後、JA単体での導入に加えて、複数の県でJAグループの県域組織との連携を通した県内事業者へのサービスの普及が進んでいるという。
今回の資金調達を通して、幅広い現場ニーズに対応が可能なサービス開発に向けた開発組織の拡充や、全国の事業者へのサービス展開を加速するセールス・カスタマーサクセス組織の強化を図り、より強固な組織体制の構築を目指す。
(藤原秀行)※いずれもkikitori提供