日本郵船とJERA、安全で効率的な港実現へ船体動揺低減の係留システムを試験運用

日本郵船とJERA、安全で効率的な港実現へ船体動揺低減の係留システムを試験運用

スウェーデン系の海洋港湾資材メーカーと連携

日本郵船は9月27日、東京電力ホールディングスと中部電力が折半出資している発電会社のJERA、スウェーデン企業傘下で豪州の海洋港湾資材メーカーTrelleborg Marine Systems Australia(トレルボルグ・マリンシステムズ・オーストラリア)と、船体の動揺を抑える係留システム「DynaMoor」(ダイナムーア)の試験運用に関する基本協定書を締結したと発表した。

3社はJERAの常陸那珂火力発電所(茨城県)の揚炭バースに「DynaMoor」を設置して2024年に実際の荷役で運用を開始。係留された船舶の動揺低減効果と、港湾作業の安全性・荷役効率の向上効果を検証する。日本国内の港に「DynaMoor」が設置されるのは初めてという。

「DynaMoor」は、岸壁に船舶の係留索(ロープ)をつなぐビットの代わりに設置される、トレルボルグ・マリンシステムズが独自に開発したシステム。小さな専有面積で設置できるのがメリットで、係留索の張力を電子制御式の油圧ダンパーで調節して船体の揺れを抑える。


「DynaMoor」の概要図


「DynaMoor」の使用イメージ

外洋に面した多くの港は海面のうねりや長周期波の影響を受けやすく、船体動揺による荷役の中断や船舶の港外退避が発生し、港の稼働率が低下することが長年の課題となっている。船側で係留索の張力を調節して動揺を抑えることは難しく、陸側では大掛かりな設備の導入が必要になることから、日本国内では解決が進んでいなかった。日本郵船は他と組み、こうした問題の解決を下支えしていきたい考え。

(藤原秀行)

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