エアロダインジャパン、山梨県・北杜市と共同で「ドローン物流推奨飛行ルート」8パターン作成

エアロダインジャパン、山梨県・北杜市と共同で「ドローン物流推奨飛行ルート」8パターン作成

平時や災害時に迅速活用可能、他社との協業も視野

マレーシアでドローン関連事業を展開しているエアロダインの日本法人エアロダインジャパンは9月28日、山梨県が実施する「第4期TRY!YAMANASHI!実証サポート事業」に採択され、山梨県北杜市を舞台にドローン目視外飛行に向けた「ドローン物流推奨飛行ルート」を8ルート作成したと発表した。

同社は本事業での取り組みが、今後の市場成長が期待される「ドローン物流」の実現へ課題を解消し、「ドローン前提社会」の実現を加速する一助になるとの見方を示した。

ドローンの飛行ルート設計には、地上・上空を含めた現場の環境に関するリスクアセスメントのほか、法規制を守りながら、不慮の事態が起きた際にも安全に着陸できるよう、あらゆる角度から安全性の確保を検討する必要がある。高速携帯網(LTE)通信などを使って常にドローンの周囲を監視し、異常事態に即応できる体制が不可欠。一般的な「目視内飛行」とは異なるスキル・経験が求められる上、何度も現地踏査が必要となる地道な作業も欠かせない。

エアロダインジャパンはそうした課題の解決に焦点を当て、飛行ルート設計とLTE電波の調査を含めた「推奨飛行ルート」を設定する実証実験を行った。

まずは公共施設を結ぶ飛行ルート案を机上の検討で100本程度作成。現地踏査を行い、地形や地上障害物の有無などリスクヘッジをして数十本に絞り込んだ。その上で実際にドローンを飛ばしてみて、上空LTEの電波強度を計測し、飛行ルートの上空における安全性を評価した。

綜合的な結果を考慮し、地上・上空ともに安全性が高くドローン飛行に適したルート8パターンを、「ドローン物流推奨飛行ルート」として設けた。

ルートの検討に当たっては、離着陸場の安全確保のほか、鉄塔や樹木などの地上障害物の有無や見通しの良さ、上空LTE電波の伝送速度や電波安定性などをチェックした。

同社は災害時や平時に、事前に設定したルートを使って、素早くドローンが荷物を積んで飛び立てるため、ドローン物流の実現へハードルを少し下げる効果があったとみている。飛行方法は目視外飛行(システムによる自律飛行)を想定しているが、今後の実証実験はパイロットが伴走することも考え、ドローンを目視しやすい伴走用地上ルートも設定した。

エアロダインが設定した推奨飛行ルートは、ドローン運航管理システムなどを通じて運行事業者に提供。ユーザーはワンクリックで飛行させることが可能になる。今後は作成したルートを用いて、ドローン物流やその実証実験に取り組みたい物流事業者などとの協業を進めたい考えだ。

作成した推奨飛行ルート
1.塩川病院〜明野総合支所
2.塩川病院〜須玉ふれあい館
3.明野総合支所〜明野ひまわり畑
4.須玉ふれあい館〜高根総合支所
5.高根総合支所〜大泉総合支所
6.高根総合支所〜花の森公園
7.大泉総合支所〜大泉駅前駐車場
8.大泉総合支所〜三分一湧水館

「TRY!YAMANASHI!実証実験サポート事業」は、最先端技術やサービスを有するスタートアップ企業などに対し、全国トップレベルとなる補助率3/4、最大750万円の経費を支援するとともに、山梨県全域を実証実験のフィールドとして、産学官金連携のオール山梨体制で伴走支援する社会実証プロジェクト。

(藤原秀行)※いずれもエアロダインジャパン提供

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