ロボットと連携した庫内の在庫確認なども展開
大日本印刷(DNP)は10月12日、グループで印刷・加工業務などを手掛けるDNPグラフィカが、自社の印刷工場がある兵庫県小野市の協力を得て、ドローンを利用した新しい社会のインフラ整備につながる実証実験を10月11日に実施したと発表した。
DNPグループの協力会社に対して定期的に輸送している資材をドローンで送るなど、5つのテーマに分かれて実証を展開した。
ドローンを使った実証実験の様子
兵庫県は全域でデジタル技術の社会的な実装を加速させており、県民の誰もがデジタル技術の恩恵を享受でき、自らのニーズに応じたサービスを選択可能にする「スマート兵庫」を実現するため、2022年10月に「スマート兵庫戦略」を策定した。今回の実証もその延長線上にある。
DNPグラフィカは製造業として培ったオペレーション力(操作・運営など)と、最先端のAI画像解析技術、RFID(ICタグ)を活用した非接触読み取り技術などを生かし、新規事業の創出を図っている。現在、社員10人が新規事業開発を目指してリスキリング(再学習)を進め、一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)が認定するドローン資格を取得した。このうち5人は講師ライセンスも保有している。
また、第2種電気工事士1人、赤外線建物診断士3人も社員も在籍しており、こうした専門の強みを活かした価値の創出に注力しているという。
今回の実証実験は、内燃機関の自動車などよりCO2の排出量が少ないドローンが工業団地内の輸送を担い、環境負荷が少ないサステナブルなインフラを実現することを目指して行った。
ドローンの飛行ルート(いずれもDNP提供)
他にもドローンを活用した工場・倉庫の外壁点検による業務効率化と負荷低減、上空からの監視によるセキュリティー強化、ドローンとロボットを使った庫内の製品在庫把握、空に広告や地域情報を表示し生活者とのコミュニケーション促進にそれぞれトライした。DNPグラフィカは今回の実証の成果と課題を踏まえ、ドローン活用を広めていきたい考え。
(藤原秀行)