幹部ら記者会見、交渉の門戸閉じず回避を引き続き模索
港湾労働者が参加する全国港湾労働組合連合会(全国港湾)と全日本港湾運輸労働組合同盟(港湾同盟)の幹部は4月16日、東京・霞が関の国土交通省内で記者会見し、2019年春闘の労使交渉状況を説明した。
両労組が産別最低賃金の引き上げなどを求めているのに対し、交渉相手となっている、事業者で構成する日本港運協会(日港協)が不誠実な対応を続けており、交渉が決裂状態に陥っていると主張。そうした状況が3月31日と4月7日、同月14~15日と計3回のストを決行した背景と解説した。
その上で、交渉の進展がない場合は、今年のゴールデンウイーク中のストライキも視野に入れざるを得ないとの考えを強調。同時に、ストは物流に多大な影響を与えると見込まれることを踏まえ、実力行使回避を引き続き模索する姿勢も示した。
会見で全国港湾の糸谷欽一郎中央執行委員長は「日港協は交渉にほとんど応じようとしていない」と指摘、前向きに対応するよう強く求めた。一方、玉田雅也書記長は「平和的な解決がなされることがベストだと思っている。ストを振りかざす気は毛頭ない」と述べ、交渉の門戸は今後も閉じないことをアピールした。
記者会見する全国港湾の糸谷中央執行委員長
両労組によれば、産別最低賃金の改定を求めているのに対し、日港協は「独占禁止法に抵触する恐れがあり統一回答できない」と表明。中央労働委員会にあっせんを申請し、「独禁法上の問題とはならないと解されるため、労使双方は真摯に協議し解決に努める」とのあっせん案が提示されたが、日港協が受け入れを拒んでいるという。
両労組は65歳定年制の早期実現や港湾労働者年金制度の拡充といった春闘の要求でも日港協と見解に隔たりがあるとの見方を示している。
記者会見に臨む(左から)港湾同盟の横山直彦事務局長、全国港湾の松本耕三中央執行委員長代行と糸谷中央執行委員長、玉田書記長、港湾同盟の日吉正博会長代行
(藤原秀行)