JAXAの能代ロケット実験場で性能試験を実施
東京貿易エンジニアリング(TEN)、川崎重工業、宇宙航空研究開発機構(JAXA)、日本船舶技術研究協会(JSTRA)は4月18日、世界初となる液化水素用の船陸間移送ローディングアームを開発したと発表した。
使用時にCO2を排出しないクリーン燃料として注目されている水素の大量調達とサプライチェーン構築に向けて、液化水素運搬船と陸上基地をつなぐ重要な設備と位置付ける。
ステンレス製でアーム長11.5メートル、ベースライザー高5.5メートル。アームのほか駆動装置、スイベルジョイント(回転機構を持つ管継ぎ手)、緊急離脱機構などから構成。高断熱を実現する真空二重断熱構造を採用したほか、波や揺れに対して自由度が高い特殊なスイベルジョイント、緊急時に液化水素を安全に遮断する離脱機構を備える。
開発は液化天然ガス(LNG)用ローディングアームで豊富な実績を誇るTEN、液化水素関連設備でノウハウを持つ川重が担当。舶用関連技術の研究を行うJSTRAが全体を統括した。またスイベルジョイント、緊急離脱機構はロケット燃料を通じて液化水素の取り扱いに関する知識があるJAXAの能代ロケット実験場(秋田県)で性能試験を実施。40万回の反復回転動作を行うことで高い安全性と耐久性を確認した。
今後は2020年度に実証試験を計画している新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「未利用エネルギー由来水素サプライチェーン構築」で緊急離脱装置の実証を行う。また商用化を目指して装置の規格作りや大型化の技術開発も進めていく方針。
開発したローディングアーム(TENなどのプレスリリースより)
(鳥羽俊一)