法定上限超え勤務が判明、労務管理の書類も改ざん
国土交通省関東運輸局は12月6日、商船三井グループの商船三井クルーズに対し、乗組員の労働時間上限超過や記録の組織的改ざんなど、法令違反の事実を複数確認したことを踏まえ、同日付で船員法に基づき、業務の是正命令を出した。
関東運輸局によると、今年8月と9月に商船三井クルーズが所有する外航クルーズ船「にっぽん丸」に対して、船員法に則った立ち入り検査を実施。今年10月には東京都港区虎ノ門の本社事務所にも同様に立ち入り検査を行った。
その結果、同社が1日14時間・週72時間の上限を超えて乗組員を働かせていたほか、労務管理記録簿や報酬支払簿、給与支払い明細といった法定書類の内容を改ざんしたことが判明。さらに、立ち入り検査の際、虚偽の記載をした労務管理記録簿を関東運輸局側に提出し、うその説明をしていたという。
関東運輸局は是正命令で同社に対し、14日以内に全容の調査結果と再発防止策を報告するよう要求した。
商船三井クルーズは12月6日に発表した声明で「ステークホルダーの皆様に多大なるご迷惑とご心配をおかけしましたことを深くおわび申し上げますとともに、関係者の皆さまの信頼回復に向け、全力を挙げて是正措置を講じ、再発防止に努めてまいります」と謝罪。
「本命令を重く受け止め、適正な記録管理とともに法令制限内労働を厳守できるよう、業務管理体制の見直し、増員手配および業務見直しによる労働体制の改善を図ってまいります」とコメントした。
(藤原秀行)