KDDIグループが茨城・つくばで新たな取り組み公開
KDDIとKDDIスマートドローンは12月4日、茨城県つくば市で、筑波大学などと連携し、ドローンを活用した検体空輸の実証実験をメディアに公開した。
両社は2022年にもつくば市でドローンの検体輸送を実施した。検査設備のないクリニックと高度な検査設備を持つ施設をドローンが結び、検体を迅速に運べるようにすることで、医療レベルの向上を後押しするのが狙い。
ドローンが人口密集エリア上空を目視外飛行する「レベル4」の実現に向け、安全にドローンが上空を飛行できるようにするため、新たな取り組みとして、KDDIグループで保有している、スマートフォンの位置情報を基にした人の流れに関するデータを活用し、なるべくリスクが低くなる空路を設定した。
この日の飛行は、実際には地上に補助員を配置し、人が通らないエリアを設け、飛行ルート下に人が立ち入らないかを常に監視した「レベル2」で実施した。
投入したACSLの物流専用ドローン「AirTruck」
検体輸送の専用容器を搭載したドローン
人流データを活用した飛行ルート作成のイメージ(KDDIスマートドローン説明資料より引用)
ドローンは市内の検査機関「つくば臨床検査教育・研究センター つくばi-Laboratory」を離陸し、近隣の「東西医学統合医療センター」グラウンドで患者の血液検体を専用の輸送容器に積み込んだ後、約30m上空を飛行して出発地の同センターに無事戻った。移動距離は往復約2.2km、要した飛行時間は約7分だった。
安全なルートの割り出しに際しては、KDDIグループが持つ膨大なスマホの位置情報からまず飛行ルート全体の滞在人口を分析した上で、人口密度が高いエリアを推計。そのエリアをなるべく避け、墜落などで地上に被害を及ぼすリスクを最小限にとどめられると見込んだルートを決定した。
実験に参加したKDDIスマートドローンの博野雅文代表取締役は「人流のデータを活用し、ドローンの運用が可能なエリアを拡大していきたい」と意欲を語った。
飛行するドローン
検体を無事回収
取材に応じるKDDIスマートドローン・博野代表取締役
(KDDI公開動画)
(安藤照乃、藤原秀行)