道路貨物運送業の倒産、「物価高」など響き過去10年で最多の可能性大

道路貨物運送業の倒産、「物価高」など響き過去10年で最多の可能性大

東商リサーチ集計、1~11月は前年比3割増

東京商工リサーチは12月9日、道路貨物運送業の倒産状況を公表した。

今年1~11月の累計は287件(前年同期比31.6%増、前年同期218件)と急増しており、3年連続で前年同期を上回った。東商リサーチはこのペースで行くと、年間の件数は2014年以来、9年ぶりに300件台となる可能性が大きいとみている。

負債総額は498億9300万円(43.3%増、348億1200万円)と、2年連続で前年同期を超えた。

10億円以上の大型倒産は3件(4件)と減ったものの、1億円以上5億円未満が104件(42.4%増、73件)、負債5億円以上10億円未満が15件(66.6%増、9件)と中堅規模の倒産が増え、負債総額を押し上げた。

燃料費の高騰などによる「物価高」倒産は107件(75.4%増)で、前年同期の1.7倍に拡大。資源エネルギー庁が発表する軽油価格は今年11月末時点で1リットル当たり153.7円と、160円台を推移していた8~9月からは下がったものの高止まりが続いていることが影響しているとみられる。

「物価高」倒産は、6月から6カ月連続で10件以上と、高水準で推移している。

東商リサーチは運送需要が高まる年末を迎える中、ドライバー不足も深刻化していると指摘。「人手不足」関連倒産は38件(123.5%増)と前年から2.2倍に急増した。「求人難」が16件(5件)、人件費高騰が12件(1件)と大幅に増えており、深刻な人手不足と人手確保のための人件費上昇が経営の大きな負担となっていることがうかがえる。

東商リサーチは「燃料費や人件費の高騰分を吸収しきれず、採算性が悪化した企業を中心に今後も倒産が増加するとみられる」と展望。年間件数では、2014年以降の10年間で最多の14年(310件)を超える公算が大きいと予想している。


(プレスリリースより引用)

(藤原秀行)

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