故障車向けの突発事案にも容易に対応
日本特殊陶業は1月23日、フタバ（熊本市）、TOMPLA（トンプラ、新潟市）と連携し、1月15～18日の間、熊本県御船町で自動車整備工場への部品配送をドローンで行う自動車整備業界初の実証実験を行ったと発表した。
車検などで必要となる補修部品は、地域の部品商の在庫から整備工場にルート配送しているが、緊急で修理が必要になる故障車の部品は整備工場からの注文に応じてその都度個別で配送しているため、部品商は緊急配送人員の確保やコスト負担抑制が課題となっている。
同社はドローンを活用し、1人の操縦士が複数のドローンを操作することで少ない人員でも安価に、かつ渋滞や地形に影響されず直線飛行でスピーディーに配送が可能な仕組みを構築、自動車整備業界の負荷軽減を図ることを目指している。今回の実験もその一環。
自動車補修部品のサプライチェーン
今回の実証では、部品商から複数の整備工場に対する正常系シナリオと異常系シナリオでドローン配送を繰り返し行い、各種データを取得。正常系シナリオでは、ドローンで運べる
部品の種類の見極めや配送に必要となる所要時間、効率的な業務プロセス検討、今後ドローン機体に要求される仕様について確認した。
異常系シナリオはモーターやプロペラに異常が発生した事態を想定し、操縦士が安全に対処するプロセスをチェックした。
実証実験の様子
（左から）オートメカニカル・芝田代表取締役、宮本車輌工作所・宮本代表取締役、TOMPLA・藤本代表取締役、日本特殊陶業・モビリティビジネスカンパニー 市原戦略マーケティング部長、熊本県・藤木御船町長、フタバ・木下代表取締役、木下専務取締役
◆本実証における役割
| 協力先 | 主な役割 |
|---|---|
| 熊本県御船町 | 地域関係機関との調整 |
| 株式会社フタバ | 部品商のオペレーション |
| 有限会社宮本車輌工作所 | 整備工場のオペレーション |
| 株式会社オートメカニカル | 整備工場のオペレーション |
| TOMPLA 株式会社 | 航路設計・実証実験のコーディネート |
| 一般社団法人熊本県ドローン産業推進協議会 | 御船町との協定による地域関係機関との調整 |
| 日本特殊陶業株式会社 | ドローン配送システム構築、プロジェクト管理 |
日本特殊陶業は実証実験で得たデータを分析し、サプライチェーンが抱える課題解決に向け、業界特化型のドローン配送システムの構築を1つの選択肢に据え、実用化の検討を継続する。
（藤原秀行）※いずれも日本特殊陶業提供・動画はTOMPLA撮影
