三菱UFJ信託銀とProgmat、STANDAGE、Gincoが協業しデジタル通貨を貿易決済に活用へ

三菱UFJ信託銀とProgmat、STANDAGE、Gincoが協業しデジタル通貨を貿易決済に活用へ

新興国向け取引、24年中に活用例創出目指す

三菱UFJ信託銀行とメガバンク3行が出資するProgmat(プログマ)、STANDAGE、Gincoの4社は1月31日、円やドルなどの法定通貨と資産価値を連動させ、価格の安定化を図っているデジタル通貨「ステープルコイン(SC)」を貿易決済で活用する共同検討を開始したと発表した。

4社はSTANDAGEが創業当初の2017年から開発を手掛けている、ブロックチェーン技術とステープルコイン(SC)を活用した貿易決済システムを基本に据えて、デジタル通貨を決済に使えるようにし、迅速かつ安全に決済できるシステムを確立したい考え。今後、実証実験を重ねる。

貿易決済はSWIFT(国際銀行間通信協会)を基盤とした銀行経由の米ドル決済が主流となっており、決済完了までに時間やコストを要するという課題はあるものの、先進国同士の取引は比較的円滑に進められる。

半面、新興国との貿易は社会情勢や経済制裁による外貨規制、信用状取引の利用制限といった問題が響いてスムーズに米ドル決済ができず、送金に数カ月も要したり、多国・多数の銀行を経由するため手数料がかさんだりと多くの問題を抱えているのが実情。

不透明な国家規制や不安定な通貨情勢に依存することなく、どの国でも確実かつ平等に貿易決済を行うことができる世界の実現を目指し、STANDAGEは創業当初の2017年より、ブロックチェーンとSCを活用した新貿易決済システムの開発を進めてきた。

米Circle(サークル)が発行するUSDC、香港のTether(テザー)が取り扱っているUSDTなど、米ドル建てのSCは既にあるものの、日本ではSCの法的な位置付けが不明確で日本円に替える手段がなく、貿易関係者らの間では、日本国内の実用化には時間がかかるとの見方が多かった。

そこで三菱UFJ信託銀行とProgmatは2023年6月施行の改正資金決済法に即した形でSCを発行するためのインフラとして、管理者の許可なく誰でもネットワークにアクセスできるパーミッションレス(パブリック)ブロックチェーン利用を前提とした「Progmat Coin」基盤の開発と実務の構築を主導。「Progmat Coin」基盤を用いた様々なブランドの国産SCは、取り扱う仲介者が必要なライセンス登録を完了し次第、発行・流通が可能になる予定。

共同検討では4社がタッグを組み、国産SCを活用した貿易決済システムの実用化に向け、まずは国内の貿易関連企業で活用例を生み出していきたい考え。


(各社提供)

(藤原秀行)

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