「自動物流道路」、今夏ごろめどに想定ルートなどの方向性取りまとめへ

「自動物流道路」、今夏ごろめどに想定ルートなどの方向性取りまとめへ

政府が2024年問題考慮した対応の中長期計画決定

政府は2月16日、「我が国の物流の革新に関する関係閣僚会議」を持ち回りで開催し、「2024年問題」を打開するための2030年度に向けた中長期計画を決定した。

政府が開会中の通常国会に提出した関連法改正案で一定規模以上の荷主企業や元請け物流事業者への規制強化を打ち出していることや、物流領域の自動化設備導入とシステム投資を支援することで、30年度までにトラックドライバー1人当たりが荷待ち・荷役作業などに要している時間を19年度実績から年間125時間以上減らす目標をあらためて確認した。

併せて、規制強化や共同輸送の促進でトラックの積載率を19年度比16%以上増やすことも再度表明した。

焦点となっているトラックドライバーの賃上げについては、「標準的な運賃」を平均8%引き上げるとともに荷役の経費加算などを新設する方向で調整を進めていることを踏まえ、初年度は6~13%と、10%前後押し上げる効果があるとの見方を示した。

政府は同日開催した「物流革新・賃上げに関する意見交換会」で、参加した業界団体や大手物流企業の関係者に、中長期計画の概要を説明。民間側でもトラックドライバーの賃上げに取り組み、物流の持続可能性を高めるよう協力を要請した。

意見交換会には民間から日本物流団体連合会会長(物流連)、全日本トラック協会、ヤマト運輸、佐川急便、日本郵政、全国農業協同組合連合会、日本経済団体連合会(経団連)の幹部らが参加した。

「送料無料」表示見直しの実態をフォローアップ調査へ

中長期計画は、政府が既に打ち出している、トラック輸送からのモーダルシフト促進のために鉄道や内航海運の輸送量を今後10年程度で倍増させる方針について、官民協議会で継続的に実施状況をフォローし、3年後をめどに計画の見直しを図ることを確認。

今後10年で実現を目指す、先進技術を駆使して自動化・省人化を図る「自動物流道路」の構築へ、課題の検証などを担う有識者らの検討会を23年度中に立ち上げ、今夏ごろに想定ルートなどの方向性を盛り込んだ中間取りまとめを実施することも決めた。

また、自動運航船は30年ごろまでに本格的な商用運航を実現することを目指すと説明している。

消費者庁がEC事業者らの自主的な対応を要請していた「送料無料」表示の見直しについては、23年度中にどの程度見直しが成されたか実態のフォローアップ調査を行うことを表明した。

このほか、「ダブル連結トラック」について、24年度中に運行路線の拡充などを調整するほか、高速道路のSA・PAで対応した駐車マスを順次整備、ドライバーが余裕を持って休憩できるようにする方針を記した。

(藤原秀行)

中長期計画の概要はコチラから(内閣官房ホームページ)

政策カテゴリの最新記事