1日200t切り替え、CO2年間900t削減見込む
ネスレ日本とJR貨物、全国通運、日本運輸倉庫は2月21日、大阪市内で記者会見し、新たに500km以下の中距離帯で商品輸送を鉄道に切り替えるモーダルシフトを本格的に開始したと発表した。「2024年問題」や脱炭素といった課題への対応を強化する。
ネスレ日本の島田工場(静岡県島田市)から大阪府と和歌山県の納品先への約330kmの区間が対象で、主力商品のペットボトル入り「ネスカフェ ボトルコーヒー」を取り扱う。JR貨物の静岡貨物駅~大阪の百済貨物ターミナル駅のルートを利用する。
ネスレ日本の商品を積んだコンテナ
モーダルシフトをアピールするヘッドマーク
12ftコンテナで島田工場からトラックを使い、静岡貨物駅に持ち込んだ上で、百済貨物ターミナル駅まで鉄道で輸送。同駅に到着後、構内にある日本運輸倉庫の関西支店倉庫内まで運んでコンテナを開け、迅速に配送トラックへ積み替えられるようにしている。
ネスレ日本は1日当たり200t、年間約4000台分のトラック輸送を鉄道に切り替えることで、輸送時のCO2排出量を年間約900t削減できると見込む。
ネスレ日本とJR貨物は昨年9月、鉄道へのモーダルシフトをさらに推進することで合意したと発表していた。両社によれば、食品・飲料業界で中距離帯のトラック輸送をモーダルシフトして定期貨物鉄道に切り替えるのは初めてという。
ネスレ日本は既に500km以上の長距離帯でモーダルシフトを展開しており、2024年問題への対応強化などのため、より貨物量が多いルートに対象範囲を広げることにした。鉄道による貨物輸送量は23年実績から24年は4倍まで伸ばす計画だ。
会見でネスレ日本の深谷龍彦社長兼CEO(最高経営責任者)は「これから持続可能な物流にますますチャレンジしていかないといけない。温室効果ガスの排出削減という意味でも、鉄道へのモーダルシフトをさらに推進していきたい」と語った。
JR貨物の犬飼新社長は「持続可能なサプライチェーン構築にしっかりと貢献していけるよう(輸送サービスの)品質向上へ真摯に努力していく所存だ」と述べた。
ネスレ日本の商品を積んだコンテナ前で撮影に応じる(左から)日本運輸倉庫・柏井省吾社長、JR貨物・犬飼社長、ネスレ日本・深谷社長兼CEO、全国通運・永田浩一社長
ネスレ日本は25年度以降、茨城県稲敷市の霞ヶ浦工場から東北エリア向けや、島田工場から中四国エリア向けの商品輸送についても鉄道にモーダルシフトしていくことを視野に入れている。対象の商品も広げたい考えだ。
モーダルシフトの作業の様子(以下、いずれもネスレ日本とJR貨物提供)
ネスレ日本の島田工場で製品を貨物コンテナに積む
貨物コンテナを載せ、島田工場からJR静岡貨物駅に向けて出発
JR静岡貨物駅で貨物コンテナを積み替える
JR貨物の百済貨物ターミナル駅に到着
百済貨物ターミナル駅で荷降ろし
(藤原秀行)