住商とOOCL、食品の鮮度維持長期化が可能な冷蔵海上輸送開始へ

住商とOOCL、食品の鮮度維持長期化が可能な冷蔵海上輸送開始へ

「電場技術」活用のコンテナ投入、氷点下でも凍結しにくく

住友商事は2月28日、香港の大手船会社OOCL(オリエント・オーバーシーズ・コンテナ・ライン)と組み、生鮮食品の鮮度を長期間維持できる「電場技術」を活用した新たな冷蔵海上輸送を開始すると発表した。このほど、業務提携契約を結んだ。

電場は電気の力が加わっている空間を指す。食品を保管している海上コンテナの内部に、人為的に微弱な電場を作り出すことで氷点下でも食品が従来より凍結しにくくなり、品質を維持できるという。

冷凍保存すると食品を解凍する際に細胞が壊れて品質が低下することがネックになっている。一方、冷蔵保存による海上輸送はリードタイムに制約があり、航空輸送はコストが課題だった。

住友商事とOOCLは電場技術を搭載した海上コンテナを輸送に投入することで問題を克服、食品を様々な産地からより安定して調達できるようになると見込んでいる。輸入だけでなく、日本産品の輸出にも使うことを目指している。

両社は航空輸送よりコストとCO2排出量をともに9割程度抑えられると期待しており、消費期限延長によるフードロス削減にもつなげられるとみている。

紅海で武装勢力が航行する船舶に攻撃を繰り返し、海運会社は喜望峰ルートの選択を迫られ輸送により時間を要するなど、世界の海上輸送が混乱していることもあり、新たな冷蔵海上輸送技術の注目度が高まりそうだ。

東京都内で同日、記者会見した住友商事の梁井崇史物流インフラ事業本部長は「これまでに10社ほどと実証を行ってきた。今後5~10年で20~30社と新技術を使った流通を実現させたい。物流事業の主力とし、収益を上げていきたい」と強調。

通常のリーファーコンテナよりは若干割高になっているものの、「消費者にダメージはないと想定している」と自信を見せた。

OOCL Director of Tradesのテディ・ファン氏は「この新しい技術は今後世の中の人々のためになると自信を持って言える。さまざまなテクノロジープロバイダーと協業することによってイノベーションを起こしていきたい」と語った。


撮影に応じるOOCL・ファン氏と住友商事・梁井氏


電場技術を使ったコンテナ(いずれも住友商事提供)

動画はコチラから(住友商事ホームページ)

スペイン産豚肉を初めて冷蔵輸送

新たな冷蔵海上輸送の提供に当たっては、冷凍・冷蔵設備の開発などを手掛け、住友商事が8.53%出資しているMARS Company(マーズカンパニー、群馬県高崎市)が開発した電場コンテナを採用。電場関連機器の開発を担う第一施設工業(福岡県新宮町)とOOCLの協力を得て、電場コンテナ調達の仕組みを確立した。

住友商事は併せて、電場環境で真空度の高いシュリンク梱包を食品に施して鮮度保持効果を高める「食品輸送方法」に関する特許などを取得した。

住友商事とOOCLは伊藤ハム米久ホールディングスと2年半にわたり実証実験を重ね、旧来は冷凍品としてのみ輸入していたスペイン産豚肉を、食肉・物流業界で初めて冷蔵輸送することに成功。流通させる体制が整ったという。

住友商事とOOCLは住商グループの食品専門商社、住商フーズやサーモンメーカー大手モウイジャパンなどとタッグを組み、生鮮商品の新しい流通モデルを確立していきたい考え。

両社によると、1便当たり20tの積載が可能と想定。通常であれば凍結する零下3度程度まで、凍らずに食品を保つことができるという。


会見する梁井氏とファン氏

(安藤照乃、藤原秀行)

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