「食品小売業のサステナビリティ取り組みランキング」、1位はセブン&アイ

「食品小売業のサステナビリティ取り組みランキング」、1位はセブン&アイ

流通経済研が調査、ファミマやローソン続く

公益財団法人流通経済研究所は3月5日、食品小売業を対象に、サステナビリティへの取り組み状況に関する調査結果お公表した。

1位はセブン&アイ・ホールディングス、2位はファミリーマート、3位はローソンと続いた。

同研究所によれば、調査対象の食品小売業のうち、サステナビリティに力を入れていると回答したのは62.8%、今後取り組みを拡大する予定と説明したのは71.2%に上った。小売企業が最も力を入れているサステナビリティへの取り組みは「食品ロス削減とリサイクル率の向上」だった。

■サステナビリティへの取り組み-現在の注力度(N=164)

サステナビリティへの取り組み推進に「とても力を入れている」のは29.3%、「どちらかというと力を入れている」のは33.5%で、合わせて62.8%に到達した。ただ、「とても力を入れている」だけでは3割に到達しておらず、同研究所は「力強さに欠ける印象」と指摘した。

■サステナビリティへの取り組み-今後の拡大意向(N=139)

今後、サステナビリティへの取り組みを「拡大する予定である」が71.2%と前向きな見通しが多く、食品小売業が関わる取引先や消費者にも今後影響が広がる可能性が高いとみられるという。

■個別テーマ別の注力度(N=139)

「とても力を入れている」と「どちらかというと力を入れている」の回答を合計すると、最も多かったのが「食品ロス削減とリサイクル率の向上」(81.3%)に集中した。次いで「地域社会への貢献」(78.4%)、「持続可能性に配慮した商品の提供」(60.4%)となった。

一方、「気候変動対策」(39.6%)、「サプライチェーンの持続可能性向上」(38.9%)、「イノベーションと技術の活用状況」(35.2%)は過半数に届かず、同研究所は「今後の改善や推進が求められる領域といえる」と分析している。

■サステナビリティ推進方針・体制(N=128)

サステナビリティの理解について、経営陣の半数弱が基本的な知識や理解を持っている(46.1%)半面、従業員の理解はまだ十分ではない(21.9%)ことが浮き彫りになった。経営層と現場の意識に乖離があるとみられる。

また、サステナビリティの専門部署の設置率が20.3%にとどまり、経営陣のコミットメントや積極的な関与が十分でない(29.7%、23.4%)との答えも一定数あった。さらに、マテリアリティ分析で決定した重要テーマを明確に示しているのはわずか10.2%だった。

【調査概要】
■調査対象者:総合スーパー、食品スーパー、生協、ドラッグストア、コンビニエンスストアなど、食品の販売比率が高い小売業態
■調査期間:2023年9月15日~11月15日
■配布方法:郵送
■回収方法:Web回答フォームもしくはExcelファイルのメール送付(配布数:1023社 回収数:164社)
■回答者属性:総合スーパー9社、食品スーパー62社、生活協同組合28社、コンビニエンスストア5社、ドラッグストア9社、各種食品小売業(食肉、鮮魚、野菜、酒類、菓子、パン、牛乳など)1社、その他2社、業態無回答48社
(アンケートの全設問に回答しなかった回答者も含めて集計しており、設問によっては回答がない場合があり、グラフに表示されているn数も設問によって異なる可能性がある)

報告書に記載のある「SA(Single Answer)」は当該設問が単一回答式を指し、「MA(Multiple Answers)」は、複数回答式を表している。

■ランキング掲載の基準
上位30社を公表する。ただし、回答者に持ち株会社(HD)と事業会社が重複して含まれる場合はHDを掲載することとし、事業会社は掲載せず、社数が減じた場合は31社以降を追加した。

■採点の基準
以下の設問(115問)の合計得点で評価している。

サステナビリティ推進の方針策定・体制整備(16問)
サステナビリティへの取り組みの実践や報告の実施(14問)
サプライチェーンの持続可能性(9問)
気候変動対策(8問)
食品ロス削減とリサイクル向上(8問)
地域社会への貢献(10問)
持続可能性に配慮した商品(16問)
持続可能な働き方の創造(13問)
サステナビリティ推進のためのイノベーションと技術の活用(12問)
持続可能な物流(9問)

■その他
ランキング上位で社名公表候補となる企業にはあらかじめ公表許諾を得ている。

(藤原秀行)※いずれも流通経済研究所提供

報告書はコチラから<(氏名などの入力が必要)

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