下請け企業から指摘受ける
公正取引委員会は3月15日、コスト上昇分の取引価格転嫁について協議せず、価格を据え置いたことなどを下請け企業から多く指摘された企業10社の名前を公表した。
物流関係では西濃運輸、SBSホールディングス傘下で食品物流を手掛けるSBSフレック、ニッコンホールディングス傘下の日本梱包運輸倉庫が名を連ねた。
他には京セラ、ダイハツ工業、東邦薬品、PALTAC、三菱ふそうトラック・バス、日野自動車グループで輸送機器メーカーのソーシン、イオングループで建物管理を担うイオンディライトとなった。
政府は企業に幅広く賃上げを促すため、下請け企業が原資を確保できるよう人件費や燃料費などのコストアップ分を取引価格に転嫁することを産業界に強く求めている。公取委は価格転嫁の交渉に消極的な企業の実名を公表することで、さらに企業の対応を後押ししたい考え。
公取委は各社の行為が独占禁止法や下請け法に違反していたり、違反の恐れがあったりすることを認定したわけではないと説明しているが、コスト上昇分を取引価格に反映させず据え置くのは独禁法で禁じる「優越的地位の濫用」などに該当すると警告。取引内容の改善を各社に強く求めている。
公取委は下請け企業約11万社を対象に調査を実施し、価格交渉の場でコスト上昇分を取引価格へ反映する必要性について明示的に協議せず、取引価格を据え置いたり、下請け企業が取引価格の引き上げを求めたにも関わらず、価格転嫁をしない理由を説明せずに応じなかったりした発注側企業の情報を収集。
2022年6月~23年5月の取引で、こうしたケースを相当数確認した企業をピックアップして実名公表に踏み切った。
公取委は22年12月にも同様の趣旨で価格転嫁交渉に消極的な企業として、佐川急便やトランコム、丸和運輸機関など13の企業・団体名を公表していた。
(藤原秀行)