オペレーターの特性・心身の状態を把握、活用を想定
損害保険ジャパンとSOMPOリスクマネジメント、NOK、リトルソフトウェア、トヨタエルアンドエフ神奈川(トヨタL&F神奈川)の5社は5月1日、フォークリフト保有企業を対象として、脳波データを活用した事故抑制プログラムの実証実験を行ったと発表した。
データからフォークリフト事故の抑制に有用なオペレーターの特性・心身の状態に関する情報が得られることを確認したという。
損保ジャパンなどは今回の結果を踏まえ、このプログラムを顧客にサービスとして提供することを想定している。
日本全国でフォークリフトによる労働災害は年間約2000件発生しており、安全性向上は日本のフォークリフト業界における重要課題となっているのに対応する。
旧来、安全対策はルール順守徹底や危険箇所の物理的な改善が中心だったが、事故の多くはヒューマンエラーが原因で、従来の対策だけでは限界があるため、実証実験では専門知識・ノウハウを持つ5社が連携し、個々のオペレーターの運転中の行動(ルーティン含む)や思考の特性を脳波などから診断するという新たなアプローチで、物損事故や労働災害のさらなる抑制を目指した。
プログラムではフォークリフト操作中のオペレーターの脳波などの生体データを、ヘルメット型の専用デバイスなどで計測・解析する。これまで管理者の経験や感覚に頼ることが多かった「集中力の持続度」「注意力の傾向」「ストレスを感じる瞬間」「空間認識力」といった項目を、約10~20分という短時間で客観的に可視化できるという。
個人の特性(作業スタイル)をデータに基づいて把握し、それぞれに合った具体的な教育・支援や、チームとしての適切な人員配置を可能にすることで、従来の安全管理とは異なる科学的なアプローチから、事故リスクの低減につなげられると見込む。
プログラムでは、次世代フォークリフト安全講習サービスと実稼働型フォークリフト安全解析サービスの2種類を展開する予定。
前者は企業が実施する安全運転講習会などの場で生体データを取得し、脳波からオペレーターの「得意な作業・苦手な作業」や「作業スタイル」を分析、オペレーター間の相性も考慮したチーム編成を提案することを予定している。安全確認のタイミングや癖をチェックし、客観的データに基づいた納得感のある指導・育成を支援する。
後者は日常の通常作業時に生体データを取得。オペレーターがストレスや危険を感じたポイントを作業場所とひも付けて特定することで、「人のスキル」だけでなく「場所のリスク」も特定し、より安全で働きやすい職場環境の構築を後押しする。
サービスを通じて、取得したデータから集中力低下の兆候や潜在的な危険箇所(ヒヤリハットポイント)を具体的な数値と画像でレポート化する。また、データから推測される身体的な留意事項のフィードバックも行い、多角的な視点から労災の未然防止を図る。
法人向けにも、現場全体の安全傾向(強みや潜在的なリスク・懸念点)を定量的に可視化。各オペレーターの特性を6つのタイプに分類して一覧化し、相性診断も掛け合わせることで、事故リスクの低減につながる人員配置や、現場の安全性を高めるチームビルディングを促進する。
損保ジャパンなどはプログラムの提供を通じて得られるデータを蓄積・分析し、将来はフォークリフト事故の予兆検知モデルの開発や、より精度の高いリスク評価アルゴリズムの構築を目指す。
並行して、フォークリフト以外のさまざまな車両や重機、製造ラインの作業者などにも今回の技術を適用していくことを検討する。
(藤原秀行)












