近く首都圏で実証実験へ、フリマ出品の手間軽減狙い
日本郵便とフリーマーケット(フリマ)アプリ大手のメルカリは5月16日、千葉県八千代市の八千代郵便局で、フリマで売れた商品を日本郵便の宅配ロッカー「はこぽす」から購入者に発送する実証実験をメディアに公開した。
出品者は梱包した商品をはこぽすに持ち込み、事前に発行された2次元コードをスマートフォンの画面に表示してリーダーにかざし送り状を発行。商品に送り状を貼ってはこぽす内に収めればそのまま集荷、配送される。
メルカリはユーザーが好きな時間に発送可能とすることで出品の手間を減らし、フリマ利用を後押しする。日本郵便は個人間の荷物配送ニーズを確実に取り込みたい考え。
近く同郵便局を含む首都圏の4カ所で実験を正式に開始する方向で準備を進めている。両社は半年間程度実験を続けた上で利用頻度などを見極め、対象のはこぽすを増やしていくことを視野に入れている。
はこぽすに梱包した商品を投入するメルカリユーザーの女性
ユーザーとの“リアル”な接点を重視
両社は2017年にフリマへの出品者と購入者の双方が身元を明かさず、匿名のまま商品を宅配便でやり取りできることなどが特徴の「ゆうゆうメルカリ便」をスタートするなど、協力関係にある。今年3月には郵便局の専用コーナーに準備している無償の梱包資材を使い、メルカリ商品を発送できるサービス「つつメルすぽっと」の実証実験も首都圏の5カ所で開始。利便性向上のための模索を続けている。
現状では郵便局やコンビニのローソン店舗から売れた商品を発送できるが、メルカリと日本郵便ははこぽすを新たな選択肢に加えることで、ローソン店舗が混雑している時間帯を避けたり、郵便局が空いていない早朝や深夜にも発送したりできるようになると説明している。
実証実験前に八千代郵便局前で取材に応じたメルカリの田面木(たものき)宏尚執行役員(メルカリジャパンCEO)は「商品発送の心理的なハードルを下げられるのはサービスを使っていただく上で非常に意味が大きい。郵便局やコンビニ店舗といったユーザーとの“リアル”な接点を重視しており、今後はより整備して選択肢を増やしていきたい」と説明。
日本郵便の大角(おおがく)聡郵便・物流営業部長は「はこぽすをお使いいただくことで、お客さまの利便性を高められる上に人手不足のコンビニのオペレーション負荷軽減にもつなげられる」と意義を語った。
月に数回、化粧品などを出品しているという30代の女性は実証実験に参加した後、「24時間いつでも送ることができるのは非常に魅力」と感想を述べた。
八千代郵便局前で取材に応じるメルカリ・田面木氏(左)と日本郵便・大角氏
(藤原秀行)