戦略的業務提携で合意、コンテナや倉庫の相互利用なども検討
大王製紙と北越コーポレーションは5月15日、戦略的業務提携の締結で合意したと発表した。物流や原材料調達の効率化、脱炭素化などに共同で取り組む。
物流面では、グループ会社を含む両社の生産拠点間のラウンド輸送(相互輸送)を導入し、交錯物流の解消と物流コスト低減を図る。
具体的には、北越コーポレーションの新潟工場と大王製紙の可児工場(岐阜県)、いわき大王製紙(福島県)の間、大王製紙三島工場(愛媛県)と北越コーポレーション紀州工場(三重県)間で、試験的にラウンド輸送を実施する予定。
将来は両社グループ全体で取り組みを展開することを視野に入れている。
併せて、北越コーポレーションが私有するコンテナや両社の物流倉庫を相互活用し、二次配送を効率化すると同時に、製品物流のCO2排出量削減の効果を検証する。
両社工場のパルプ・紙生産における各種工程の比較検討を進め、両社固有の優れたノウハウ(原材料や用品等の種類、使用方法など)を共有、品質改善や原価低減を目指す。
主原料の木材チップに関し、安定調達や在庫適正化、コスト低減などで連携。両社調達先からの木材チップ相互融通、環境負荷や船舶コスト軽減を目的とした2港揚げやチップ船の相互活用、地政学的リスクによる不安定な海上輸送問題に対する共同BCP対策などを計画している。
同時に、自製パルプや原材料・消耗品の相互融通による在庫の有効活用と調達コスト低減、製品物流と併せた原材料国内輸送連携による物流コスト低減(原燃料の一部に関する共同調達)なども検討する。
両社は「中長期的には、新技術等の共同研究やエネルギー転換、DX推進、森林資源活用等のテーマについても検討を行う」と説明している。
(藤原秀行)