グループ入りで「国内屈指のコールドチェーン作り出せる」

グループ入りで「国内屈指のコールドチェーン作り出せる」

SGHDとC&Fロジの両社長、TOBめぐり会見

SGホールディングス(HD)の松本秀一社長とC&Fロジホールディングスの綾宏將社長は5月31日、東京都内で記者会見し、SGHDが同日、C&FロジへのTOB(株式公開買い付け)実施を発表したことについて狙いなどを説明した。

両社長は、C&Fロジの低温物流網をSGHDの全国的な宅配ネットワークなどと連携させることで、冷凍・冷蔵食品のECなどに対応可能な「国内屈指のコールドチェーンを作り出せる」と強調。食品以外の医薬品などの領域で低温物流需要を開拓していくことに強い意欲を表明した。海外展開についても注力していく可能性を示した。

また、具体的にシナジーを追求する内容については今後詳細を詰めると強調。両社が持つトラックや冷凍・冷蔵倉庫などのアセットの展開状況を把握した上で、連携や補完が可能な領域を見極めていく考えを明らかにした。


会見に臨むSGHD・松本社長(右)とC&Fロジ・綾社長

C&Fロジに対しては、AZ-COM丸和ホールディングスが5月にTOBを開始していたが、C&Fロジは他の企業や投資ファンドから対抗策として買収提案が来ており検討が必要との理由で、これまで賛否を表明していなかった。

C&Fロジの綾社長は、AZ-COM丸和からのTOB提案についても企業価値向上につながるかどうかを慎重に検討していたと説明、“拒否ありき”ではなかったと強調した。

その上で「SGHDからの提案が最も優れていると判断した。(1株当たりの)買い付け価格も最も高かった。当社の主要顧客の理解を得られ、(取引から)離反されるリスクも極めて限定的と考えられる」と意義をアピール。

「SGHDグループ入り後はさらなる価値創造し、これまで以上に社会に貢献する」と訴えるとともに、自社の株主の理解を得られるよう説明に全力を尽くす構えを見せた。

SGHDの松本社長はC&Fロジを傘下に収めた場合、「3PLネットワーク拡充などが大いに関連する」と指摘。傘下の佐川急便の宅配便事業とC&Fロジの低温物流の間に親和性があり、お互いの得意領域を生かせるため、佐川とC&Fロジの間で2022年8月に取引を開始していたことを明らかにした。

松本社長は「人材交流なども始める予定だったが当時は資本参加は考えていなかった」と述べ、AZ-COM丸和のTOB表明後、ホワイトナイト(第三の買収提案者)となることを検討し始めたと解説した。

今後については「まず既存のアセットをしっかり把握した上でどのように生かしていくかを考える。投資についてもさまざまな検討を進めていきたい。(低温物流は)食品以外のところでさらなるシナジーを発揮できると考えている」と展望。国内屈指のコールドチェーンソリューションをサプライチェーン上の全てのプレイヤーに提供できるとの見方を示した。


会見後、撮影に応じるSGHD・松本社長(右)とC&Fロジ・綾社長

(藤原秀行)

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