日本ミシュラン、物流業界サポート強調
日本ミシュランタイヤは5月9日、横浜市内で開かれたトラック関連の大型展示会「ジャパントラックショー」で、メディア向けに出展内容を説明するセミナーを開催した。
もみ殻から作成した植物由来のシリカや、リサイクルスチールを取り入れたスチール材といった原材料環境負荷低減に寄与する素材を全体の58%まで使用した「サステナブルタイヤ」を日本で初めて公開。環境保護を重視している姿勢をアピールした。
併せて、タイヤの設計・製造から輸送、使用、リサイクルまでに至る過程で環境負荷低減や低燃費化などを実現していく取り組み「ライフ・サイクル・アセスメント(LCA)」を通じて、トラックを日々使う物流業界が抱えるさまざまな課題の解決を後押しする方針をあらためて表明。「自然と調和する物流の未来」を描いていくと強調し、物流業界のサポートに今後も注力する考えを強調した。
展示したサステナブルタイヤ
セミナーでは冒頭、日本ミシュランタイヤの田中禎浩B2Bタイヤ事業部常務執行役員があいさつし「われわれが目標として掲げている『すべてを持続可能に』は人、利益、環境の3つの柱が最適にしっかりとバランスを取ることで、初めて持続可能になるとの考えがある。今回はその中でもプラネット(環境)にフォーカスして展示していきたい」と自社の姿勢を説明。
田中氏
マーケティング部B2Bオンロードセグメントマネージャーの伊藤雅尚氏は「タイヤのLCAによる物流業界の環境課題(解決)に貢献」と題してプレゼンテーションを実施。LCAは天然ゴムをはじめとした持続可能な原材料の調達、製品輸送時のCO2排出削減、高性能で長期使用が可能なタイヤの開発、廃タイヤ回収・再利用野促進などを進め、タイヤユーザーの物流業界にプラスの影響を与えていくとのスタンスを明示した。
タイヤ自体、転がる際の地面との抵抗を小さくして長寿命化を果たしたり、重量を減らして走りやすくしCO2削減につなげたりしている製品を開発していることを紹介。
さらに、トラックドライバーら向けに、摩耗が進んだタイヤに溝を刻んで寿命を延ばす「リグルーブ」やすり減ったトレッドゴム(路線と接する部分)を新しいものに貼り替えてタイヤの機能をよみがえらせる「リトレッド」を引き続き、積極的に行うこともアピールした。欧州ではリグルーブでタイヤの寿命が最大25%伸びるなどの成果を得られているという。
伊藤氏
タイヤのリサイクルでは、ミシュラングループのリーハイテクロノジーが製造した使用済みタイヤ由来の再生ゴム粉末(MRP)が、リサイクルカーストッパーに採用されたことに言及。「タイヤのリサイクル100%を目指す」と従来目標の堅持をアピールした。
リグルーブの作業デモ
ドライバー支援として、メンテナンスすべき時間の予測などタイヤの適正管理を支援する「MICHELIN TireCare(ミシュランタイヤケア)」、物流事業者へのアンケート結果から業界平均に比べて取り組みが不足している項目を探り出し、重点的に対処をサポートする「ドライバー診断」といったソリューションを続けていることを紹介した。
(安藤照乃、藤原秀行)