【現地取材・動画】スタートアップのNiceEze、荷物の受け入れサイズを容易に変更できる無人ストア付きAI宅配ボックス公開

【現地取材・動画】スタートアップのNiceEze、荷物の受け入れサイズを容易に変更できる無人ストア付きAI宅配ボックス公開

旧来の2倍以上収納可能、利用料は月額1万~2万円を想定

AIを活用した物流効率化ソリューションの開発などを手掛けるスタートアップのNice Eze(ナイスエズ、東京都港区虎ノ門)は6月17日、既存のものよりマンションなどへの導入が容易な新型宅配ボックス「スマロビ」の提供を同日開始したと発表した。

東京都中央区勝どきの大型マンションで同日、スマロビ利用のデモをメディアに公開した。

荷物を格納するラックの部分は大きさを自由に変えられるようにしており、設置したマンションなどに届く荷物の傾向に応じて最適な間口のサイズを実現。Nice Ezeは従来の宅配ボックスに比べ1台当たりの設置面積は変えずに平均2倍以上の宅配荷物を納められるため、空間利用効率を大幅にアップできると見込む。最大で幅84cm×高さ45㎝×奥行40cmの荷物を格納できるという。

また、居住者は専用のスマートフォン用LINEミニアプリで操作すれば荷物を取り出せることから、手軽に宅配ボックスの利用を始められるのがメリット。配達スタッフ向けの専用アプリも準備しており、荷物投函の登録などを迅速に済ませられる。


公開したスマロビ。左側がAIストア


第1号を設置した東京・勝どきのマンション

スマロビは初期費用が無料で、マンションのオーナーなどから運営のシステム利用料金を毎月徴収する。宅配ボックスの運営自動化などでコストを抑えるとともに、宅配事業者からも荷物量に応じた利用料金を受け取ることで スマロビのロッカー運営金額自体は月1万~2万円に設定している。

周辺に取り付けたカメラの画像などから、別の人が間違って荷物を受け取るなどのイレギュラーを自動的に感知、利用者に通知する。

スマロビは併せて、飲料や食料品、日用品などを自由に購入できる冷蔵庫「スマロビAIストア」も併設。同じくスマホのLINEミニアプリで購入、決済できる。宅配ボックスと併設して24時間気軽に使えるようにし、居住者の利便性向上をサポートすることを想定している。

スマロビのデモを実施した勝どきの大型マンションで今年5月、スマロビの1カ月間の実証実験を行い、居住者から好評だったため、実装に踏み切った。既に別の1カ所でも採用が決まっているという。Nice Ezeは2026年までに1500台(約6万世帯分)、32年までに10万台(400万世帯)の導入を目指す。


荷物を納めるラック。商品が入っている部分をすぐに把握できるよう、ランプの色が赤になる


カメラを設置し、異常を迅速に検知


飲料などを納めるスマロビAIストア

東京都内で同日、記者会見したNice Ezeの松浦学代表取締役は、マンションに宅配荷物が届いてから荷さばきスペースで仕分け、スマロビに収めるまでの館内物流の部分もNice Ezeが担うことで宅配事業者の負荷を大きく減らせると強調。

同時に、宅配ボックスの設置が広がっているものの、居住世帯の約6割は宅配自体を利用していないとの調査結果もあり、利用に繁閑の波がある点が課題と指摘、「大型の荷物を宅配ボックスで受け取るなど、居住者の(物流業務効率化への)協力度合いに応じて謝礼を支払うシステムも考えている。宅配ボックス利用の回転度合いを高めていきたい」と強調した。

将来はスマロビで冷凍・冷蔵荷物を預けられるようにしたり、屋外や戸建て住宅でもスマロビを利用できるようにしたりすることを念頭に置いている。

(藤原秀行)

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