オルビスが重量計搭載の最新AMRを物流拠点に導入、出荷工程の自動化・省人化範囲拡大

オルビスが重量計搭載の最新AMRを物流拠点に導入、出荷工程の自動化・省人化範囲拡大

中国系のフォワードエックス製:人員25%、対売上高出荷作業費比率は10%それぞれ削減見込む

ポーラ・オルビスグループで化粧品や健康食品、ボディウエアなどを手掛けるオルビスは2月20日、埼玉県加須市の物流拠点「オルビス東日本流通センター」の直営店舗・BtoB向け出荷ラインの刷新に伴い、新たに重量計を搭載した最新のAMR(協働型自律搬送ロボット)を16台導入、同日本格稼働を開始したと発表した。

省人化と効率化を達成し、庫内出荷作業の生産性向上を図る。

オルビスは2020年、通販用商品の出荷ライン「T Carry System」に、小型AGVを330台投入し、出荷などの工程を自動化した。さらにロボット導入範囲を拡大し、物流現場の自動化・省人化促進と環境負荷低減を図る。

同社は物流現場の持続可能性担保を考慮した自動化に向け、作業スタッフとAMRが効率良く連携し、最適なピッキングができるよう、オリジナルの重量計付きAMRを採用、独自の仕組みを構築した。

新出荷ラインで導入した重量計付きAMRは、パートナーのアルプス物流系物流企業、流通サービス(埼玉県草加市)とマテリアルハン設備を担う椿本チエイングループの椿本マシナリー(大阪府西区)が、製造元の中国系ロボットメーカーForwardX Robotics(フォワードエックスロボティクス)の日本本社(東京都中央区)と協働し、新たに開発した。組み込んだ重量計は寺岡精工製のものを導入した。

オルビスの直営店舗・BtoB卸し先向け出荷作業は、日々約500の品目の中から、1オーダー当たり平均して約20品目・約100ピース(サンプル含む)を出荷している。従来は4拠点分のオーダーが割り当てられた重量計付きカートを、人が1台ずつ手で押して移動しながら当該商品が保管されている棚に移動、ピッキングしていた。

新たに導入した独自開発のAMRは1台につき4拠点分の出荷データを受信すると、自動的に最適なルートで棚間を人や物にぶつからず安全に巡行し、オーダーがかかった複数の商品棚に向かって順番に移動。作業スタッフが棚から商品を取り出し、全てのオーダー商品が揃った後、発送ステーションへ商品の入ったケースを運ぶところまでを自動化した。

AMRに重量計を組み込むことで、ピッキングと同時に、重さによる検品を即座に実施、別工程での検品を不要とし、高い精度のピッキングを完遂できるようにした。

全体的なシステム設計に際しては、通販出荷ライン「T Carry System」の基本コンセプトとして設定している「4つの“ない”」(作業者を「歩かせない」「待たせない」「持たせない」「考えさせない」)を踏襲。自律走行するAMRと、ピック棚にやってきたAMRの搭載ケースに商品を入れる役割の作業スタッフの動きを効率良く連携させるため、商品保管棚スペースをゾーン化し、ゾーンごとにピッキングの作業者を配置する形を採用した。

さらに、作業者の腕には次にピックすべき商品と棚の位置情報が表示されるウエアラブル端末を装着。旧出荷システムに比べ、同じ出荷能力に対して人員は25%削減、売上高に対する出荷作業費比率は約10%削減できる見込み。作業者がカートを押して長い距離を歩く必要がなくなるため、作業負荷の低減も期待できる。

(藤原秀行)※写真はオルビス提供

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